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自治体

企業の売り発掘 無料相談「○○ビズ」全国に拡大

全国で○○ビズが誕生

 全国の自治体で地域名を冠した「○○ビズ」の設置が相次いでいる。中小企業向けの無料相談施設で、静岡県富士市の「f-Biz(エフビズ)」が源流だ。柔軟なアイデアで企業の売り上げ増を図る「エフビズモデル」の人気の秘密を探った。【小倉祥徳】

    プロが助言

     「安いスーパーに押され、米の販売がうまくいかない」。愛知県岡崎市の「岡崎ビジネスサポートセンター」(オカビズ)に昨年末、夫婦で米穀店を営む渡辺正明さん(57)が相談に訪れた。有名銘柄の価格がズラリと並ぶ同店のチラシを見たオカビズの秋元祥治所長(38)は、片隅にあった「ブレンド米」という商品に注目した。

     ブレンド米は異なる銘柄を配合したもの。甘みが特徴の米と、粘り気のある米を組み合わせれば「甘くて、もっちり」したご飯ができる。配合技術に自信があるという渡辺さんに、秋元所長は「顧客の好みを聞き、オーダーメードで販売してみたら」と助言した。

     「米のバーテンダー」と銘打って3月から新サービスを始めると、自分好みの米が買えると評判になり、夏以降は毎月数十件単位で新規顧客を獲得。渡辺さんは「ブレンド米をアピールしようなんて思ってもみなかった」とオカビズの発想力に驚く。

     こうした取り組みの先駆けが2008年に設置された富士市のエフビズだ。市の全額負担で運営され、そのトップには静岡銀行出身でM&A(企業の合併・買収)や起業支援の経験が豊富な小出宗昭さん(58)が就任。「お金をかけず、知恵を出す。結果にこだわる」と決意し、従来と異なる手法で成果を上げてきた。

     自治体や商工団体による支援は、事業計画書の作成や補助金申請など実務的な助言が多い。だが、エフビズは、企業自身が気づいていない強みを発見する▽販売対象を絞り込む--などビジネスの根幹に切り込むのが“売り”なのだ。

     相談件数は初年度の1032件から16年度に4389件まで増加。約7割で売り上げ増の効果があったといい、全国から視察が殺到した。自治体の○○ビズの設置は計画段階も含めて全国19市町に上る。

     長崎県の離島で長年親しまれたリンゴパンを定期船で出荷し「昭和のかおりがするパン」と宣伝すると都市部のデパートで評判に▽岐阜県関市の刃物メーカーが「歴女」ブームなどを捉えて日本刀を模したハサミを開発し、大ヒット▽広島県福山市の屋根リフォーム業者が、古い瓦を水はけの良いガーデニング材にリサイクルする「わが家の瓦deリノベーション(再生)」をPRし、受注拡大--などの事例も出てきた。

     成功の鍵を握るのが人材だ。小出さんは「相談員はコミュニケーション能力とビジネスセンス、情熱が大事」と強調する。各地の支援施設のトップの年収は1200万円程度。各市町が公募する形だが、実はその選考過程の多くでエフビズが助言している。

     大手証券やベンチャー企業出身者、経営コンサルタント……。小出さんの手腕や人柄にも引き寄せられ、累計の応募者数は約400人に達した。エフビズの精神を受け継いだ各地の施設ではえりすぐりの人材をそろえるが、実績を上げられず、1年でトップが交代したケースもある。

     一方、自治体とは別に経済産業省も14年、都道府県単位でエフビズの類似施設を設けたが、「表面だけまねしても、うまくいかない」(金融庁関係者)との指摘もある。

     巣鴨信用金庫(東京都豊島区)は研修でエフビズに職員を派遣し、09年には融資部門と別に販路拡大などで無料相談に応じる専門部署を設置。担当の志村幸輝副部長は「エフビズから顧客に寄り添う姿勢を改めて学んだ」と語る。

     知恵で勝負する草の根的な支援活動が、地域経済の底上げにつながるのか。エフビズモデルの行方に今後も注目が集まりそうだ。

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