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カンボジア

フン・セン政権野党弾圧 政治家、多数国外へ

 【バンコク西脇真一】カンボジアでフン・セン政権が野党を弾圧しているとして欧米などが批判を強めている。事態が好転しなければ、来年7月の下院選の正当性が問われる事態に発展しそうだ。

     カンボジア司法当局は今年9月、最大野党・救国党のケム・ソカ党首を国家反逆罪で起訴した。さらに、カンボジア最高裁は先月16日、救国党の解散命令を出した。党幹部118人も5年間、政治活動が禁じられた。

     命令は、ケム・ソカ氏が米国人の支援を得て政権転覆を企て、それに党も関与したと主張する政府の訴えを認めたものだ。国会議員や地方議員ら多数の党関係者は、弾圧を逃れるため出国した。

     最高裁の命令を受け、米国や欧州連合(EU)は、救国党不在で実施される下院選は「正当とみなされない」として、同国選挙管理委員会への支援停止を発表した。

     欧米や東南アジアなど23カ国の議員158人も今月初め、救国党の解党決定の破棄と党首の即時釈放を求める公開書簡をフン・セン首相に送付。このまま下院選を迎えれば、自由で公正な選挙とみなすのは不可能だと強くけん制した。

     米国は、最高裁が救国党の解散を命じた後に選挙管理委員会への支援停止を発表したのに加え、今月6日には「カンボジアの民主主義を傷つけた者」に対する入国ビザ(査証)の発給制限措置を発表。また、ケム・ソカ氏の釈放を改めて求めた。

     フン・セン首相が強硬手段に出ている背景には、政権・人民党への支持低迷に対する焦りがある。2013年の前回下院選や今年6月の地方選で、人民党は勝利を収めたが、救国党の勢力伸長が目立っていた。救国党を支持する医療従事者、ノン・シデットさん(37)は「解散命令は、救国党候補に投票した有権者300万人の意思を無視するものだ」と憤る。

     豪ニューサウスウェールズ大のカーライル・セイヤー名誉教授(東南アジア研究)は研究機関誌への寄稿文で、フン・セン氏は複数政党制から独裁体制に転換しようとしていると指摘し、「カンボジアの民主主義は今年、劇的に劣化した」との見方を示した。

    「パリ協定に違反」野党副党首、日本に制裁要求

     【バンコク西脇真一】10月にカンボジア国外へ逃れた最大野党・救国党のムー・ソクフア副党首が今月、毎日新聞の書面インタビューに応じ「来年の下院選で与党が勝ってもフン・セン氏を首相と認めないよう日本政府に求めたい」などと訴えた。

     カンボジア紛争終結のため紛争当事者や関係国が1991年に結んだ「パリ和平協定」は、民主主義と人権の尊重をうたうが、ムー・ソクフア氏は、フン・セン政権の野党弾圧は協定の精神に「完全に反する」と批判した。

     救国党解散という強硬策に出た理由については「下院選で勝てないと踏んだのだろう。救国党が躍進した6月の地方選が契機になったが、目標達成のために手段を選ばないのは昔からだ」と指摘した。解党決定後、救国党の国会議員や関係者ら300人が出国したという。

     日本政府もカンボジア政府に懸念を伝えているが「日本はパリ和平協定にも署名し、カンボジアを支援してきた。(制裁の)声を上げないのは恥ずべきことだ。日本政府と国民にこの窮状を分かってほしい」と訴えた。

     また、フン・セン政権は中国の支持を受けているが、「中国が首相に正当性を与えられるわけではない」と指摘。国際社会が制裁を通じてフン・セン政権に方針の転換を迫るよう要望した。

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