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AI進化

見えぬ影響、課題 自動運転「とっさの判断」可能か

金沢大による自動運転の実証実験=石川県珠洲市で2016年7月、吉永康朗撮影

 各分野での進出が目立っているAI。交通、医療、文化芸術、労働、安全保障の5分野での進出の現状と、将来予想される課題を探った。【斎藤有香】

交通

 AIによる自動運転技術の拡大が期待される交通分野。しかし事故・違反の際はだれが責任をとるのかといった法律の整備が課題だ。原因がソフトの誤作動だった場合、現在の保険制度では対応できない可能性がある。

 AIは、未経験のアクシデントに遭遇した場合、人間のような「とっさの判断」ができない可能性が指摘される。例えば、車の運転支援機能が、道路に飛んできた「新商品の菓子袋」を「道路に飛び出した子ども」と誤認して急ブレーキをかけて事故が発生した場合、責任はどこにあるのか--といった問題が起こりうる。

 政府は完全自動運転の実現に向け、保険制度のあり方などを示した大綱を2017年度中にまとめる方針だ。

労働

受付で催し物などの案内をするコミュニケーションロボット=徳野仁子撮影

 AIが仕事を代替することによりその業界の賃金が下がって、失業者が増える可能性があり、AIでは代替不可能な業種との「所得格差」が拡大するのではないかとされる。

 膨大なデータからすぐに一つの「正解」を出すため、志望者が多数に及ぶ採用選考に導入する企業も出始めた。今後、人がAIに評価されたり指示されたりする時代がくるかもしれない。

 一方、AIは「正解」までの計算根拠を示さないため、なぜその人事評価を出したのかといった理由が説明されないケースも起こりうる。人間とAIとで経営判断や人事判断が異なった場合はどちらが優先されるのか--といった経営や人事をめぐるAIとの対立も予想される。

文化芸術

AIの解析結果を基に描かれたレンブラントの「新作」=ING提供

 絵画分野では、米マイクロソフトなどが2016年、画家レンブラントの作品をAIで詳細解析し、作風などを再現した「新作」を公開するなど、人間だけがなせる業とされてきた文化芸術面でも活躍が目立つ。

 人間の「たくみの技」がAIで簡単に再現できる時代になれば、手工業的な能力や、ものづくりの人材が失われるのではないかとの懸念がある。人間による芸術作品などを、本物そっくりに再現することが可能なため、AIが新しい「真贋(しんがん)論争」を引き起こすかもしれない。

 一方、AIが作った芸術作品は著作権法の対象外だ。「AIが作った傑作や、その収益はだれのものか」といった問題が今後議論になる可能性がある。

安全保障

AIによる完全自動警備車両=イスラエルのテルアビブで2016年、大治朋子撮影

 自ら敵味方を判断して攻撃するAIは「自律型致死兵器システム(LAWS)」や、「キラーロボット」と呼ばれ、火薬、核兵器に続く「戦争の第3の革命」になるとの懸念がある。現在の技術では実用化は難しいとされているが、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は「20~30年以内に実戦配備される可能性がある」と指摘する。

 ミスがなく感情にとらわれて攻撃することもない、との見方がある一方、システムエラーが起きた際のロボットの「暴走」や、戦争責任があいまいになるといった懸念がある。自国兵士の損害が少ないとの思惑から、戦争を始める政治指導者の意思決定のハードルが下がるのではないかといった疑問もある。

医療

AIによる胃の内視鏡診断。胃がんの疑いがある部位を画面上に明示して医師に知らせる=ただともひろ胃腸科肛門科(さいたま市)の多田智裕医師提供

 医療の現場では、患者の画像データなどを大量にAIに入力し、機械学習の一種のディープラーニング(深層学習)という手法を使って病気を診断する研究が進む。

 正確な診断には膨大な個人データをAIに入力する必要があるが、患者のプライバシーは保護されるのか、という問題も起こりうる。余命期間の情報などAIによる診断結果が信頼されるようになった場合は、告知された患者のストレスになることも懸念される。

 AIの診断が間違った場合、責任は医師か、AIかといった新しい「医療ミス訴訟」もありうる。遺伝子情報などから病気になる確率を今より高精度に予測できれば、生命保険ビジネスが成立しにくくなる可能性もある。

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