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余録

先日は江戸の大みそかの掛け取り…

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 先日は江戸の大みそかの掛け取り--借金取りをめぐる攻防の話をしたが、こんな川柳もある。「扇売り掛け取りの気を弱くする」。元日の未明、お年玉の扇を売る物売りが現れたら取り立ては時間切れだった▲その元日の光景だ。「家業をなし銭儲(もう)けするものは凧(たこ)商う店の外(ほか)はなし。町家両側とも板戸を閉じて、往来すべて一物もなし。ただ犬の彼方此方(かなたこなた)に臥(ふ)しける」(絵本江戸風俗往来)。扇や凧は例外だが、商売はしないしきたりだった▲その後、明治へと時代は変わっても、元日はお店が休みというのは昭和まで続いた商慣習である。それを次第に変えていったのは、年中無休のコンビニエンスストアの普及と、20年ほど前から大手スーパーが始めた元日の営業だった▲時代はさらに一回りしたというべきか。深刻化する人手不足を背景に、年中無休を当然のこととしてきた外食産業などで元日休業が広がっている。コンビニや通信大手の携帯電話販売店などにも元日に休むところが現れているという▲この元日休業の“復活”、実はここ何年かの傾向という。中小スーパーなどで多くが元日営業をやめたのは、経費の割には売り上げが伸びなかったためだった。従業員の労働環境改善や意欲向上という働き方改革にも沿う動きである▲大みそかの掛け取り騒動から、一転静かな元日に、そして翌日の初売りや初荷のにぎわいへ--実にメリハリある正月で新たな年の元気を盛り上げた江戸人である。ご先祖に学ぶべき知恵はまだまだ多い。

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