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余録

100年以上も前…

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 100年以上も前、明治の頃の出来事だ。岩手県に小野寺多利之丞という郵便集配人がいた。1月2日の朝、普段の郵便物の数倍もある年賀状を抱え、小野寺さんは配達に出かける。ひどい吹雪だった。夜が更けても小野寺さんは戻らなかった▲翌日、郵便局の仲間が雪原で小野寺さんを発見する。年賀状の入ったカバンを守るように抱えて伏していたそうだ。降雪地帯で年賀状の配達中に殉職した郵便関係者の一人である(旧逓信総合博物館「年賀状の歴史と話題」)▲物資不足の太平洋戦争中には、「生活改善 お互に年賀状はよしませう」と政府がポスターで自粛を呼びかけた(フタバ株式会社「年賀状博物館」)。当たり前のように毎年届く年賀状だが、犠牲や暗い歴史もあった▲スマートフォンの時代となり、年賀状は年々減少している。それでも今度の正月用に25億8000万枚超が用意された。一方で運送や郵便は、人手不足が過去にないほどの深刻さだと聞くと、現場の負担を案じずにはいられない▲万国郵便連合の報告書(2017年版)によれば、日本の郵便はサービスの質が高く評価され、世界3位である。ちなみに首位のスイスでは、ドローンによる郵便配達が来年夏にも一部で始まるそうだ▲日本にも、ドローンやロボットが郵便を配る日が来るのか。年賀状の習慣がなくなるということは? 先を思うと、ポストに落ちる紙片がいとおしくもなる。雪深い山里、遠く離れた島々。届けてくれる多くの手に感謝したい。

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