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プロに聞く受験2018

世界史編 「試験は大学の先生へのプレゼンテーション」

世界史勉強法のコツを説明する渡辺幹雄講師=東京都内で2017年12月14日、浜名晋一撮影

 駿台予備学校で受験生を指導するプロの講師5人に受験本番直前の勉強法や心構えを聞く「プロに聞く受験」。幅広い知識が問われる世界史の勉強法を渡辺幹雄講師に聞いた。渡辺講師は「試験は全て大学の先生へのプレゼンテーション」だと訴える。【聞き手・浜名晋一】

教科書の無限の海をゴールにしてはいけない

--世界史の受験勉強に取り組む際の心構えを教えてください。

 センター試験も国公立の2次試験、私立大の個別試験も全て大学の先生へのプレゼンテーションです。先生に「自分はこう理解している」と伝える。ですから友達や後輩、誰かに伝えるつもりで勉強することです。人に伝えるためには、自分が納得していないと伝えられません。授業や講習でのストーリーを詰め込むのではなく、納得しながら聞く。そしてそれを人に説明できるようになることが重要です。

 小学生の頃は好きで追求していくことは、なかなか忘れない。しかし、中学、高校と上がってくるとテクニックに走ったり、守りに入ったりして、必要最小限を覚えようとします。世界史に苦手意識を持っている生徒ほど、納得しないと覚えられないというジレンマを感じています。ゆっくり彼らの分かるように教えてあげると、意味がつながれば納得することができる。自分で考えて理解するというのが大事です。

 受験の直前期というのは、学校の先生が相手ではなくて、入試問題が相手なので、問題と自分とのキャッチボールになります。問われたことに対して、受験生の側が学校の先生みたいな立場になって、誰かに「教える」という意識を持てるかどうか。自分の歴史認識を誰かに伝えるという想定で勉強すると、曖昧なところがはっきりしてきます。

 こうした時に頼りになるのは、今までの勉強の積み重ねです。直前期でも自分が習ってきたことを思い出しながら、どこが抜けているのかを確認する「鏡」として、問題をうまく利用すればいい。世界史は追い込みが効くというのは、そういうことだと思います。

 --それでも直前期にはやはり焦りますね。

 世界史全体を覚えなきゃいけないと思い込んでいるからではないでしょうか。教科書の無限の海をゴールにしてしまうと、追い詰められる生徒もいると思います。そのような生徒は問題を通して理解を深めます。そこをしっかり意識して勉強すれば、手応えがつかめてくると思うのです。どんな試験でも、出題傾向には特徴があります。頻出分野はよく復習し、スルーするところはスルーする。それでいいと思います。

 試験では大学の先生が興味を持っている人物や出来事が出題されるわけですよね。出題者が何を考えているか、過去の類型を見て出題の特徴をつかみながら、力を入れるべきところと抜くところを分けていくのが大事です。苦手な場所を選んで集中的にやるのもいいのですが、あくまで問題から離れずにキャッチボールする。それが向上につながります。

 例えばセンター試験に取り組むのなら、過去問を徹底的に分析し、大事なテーマが何なのかを理解し、当たった、外れたということのみにとらわれず、「正解以外の選択肢はどこが間違っているのだろう」と、自分の授業ノートを確認しながら復習することが重要です。そうした積み重ねで自分の世界史学習に対して自信を持つことが、この時期、一番大事です。

 また、出題者は教科書の記述の丸暗記ではなく、どういう史実の積み重ねから、教科書に書かれているような、歴史的な意義が導けるのかということを問います。だから、史実と教科書の記述がどう結びつくのか、整理することが大事です。そして解答を作成することは、自分が理解したことをいかに人に伝えるか、という作業になります。問題練習に取り組み「伝え方」を工夫することで思考力が磨かれます。

赤いシートの活用法

 --センター試験で言うと,最近の入試問題のトレンドはどのようなものですか。

 センター試験は世界史Aの場合は近現代史に限定され、また世界史Bを基準に話せば、政治史中心の出題ですが、政治・社会・経済の変化の間にある因果関係を十分につかんでおきたいところです。文化についても政治に絡む出題がよくあります。

 「七月革命とドラクロア」「パリコミューンとクールベ」「なぜガンダーラ美術はギリシャ風なのか」とか、文化を文化として出題するのではなく、なぜそれが生まれたのかということを問う意図ですね。そういう傾向を把握して、過去問に取り組んでいくと、図版やグラフを使うなど、切り口は斬新ですが、問われていることは普段の授業で学習していることだということに気付きます。

 (蛍光ペンで塗った部分が見えなくなる)赤いシートがありますね。それで用語を隠すことのみに集中している生徒は結構、センター試験のような正誤問題を苦手にしているタイプの受験生ではないでしょうか。用語は文章のつながりの中でこそ光ってくる。用語の周りの文章が大事なのです。隠すなら周りの文章にした方がいい。

 用語から文脈上の意味を考える。この方法は直前期に効きます。あるいは一問一答の答えを見て,問題を隠す。発想の転換です。一問一答集より、テーマごとに簡単にまとめてくれているような、穴埋め型の問題集を使うのもいい。用語を歴史の文脈の中で捉える。そういう勉強をした結果、世界史のストーリーを理解し、土壇場で伸びる生徒が多いように思います。

--どのような心構えで試験本番に臨めばいいのでしょう。

 「ロボットは東大に入れるか」という国立情報学研究所のプロジェクトに参加しましたが、ロボットは丸暗記するだけで、質問に答えられませんでした。これは「できない受験生」と同じだなと思いました。

 一問一答は答えられても「なぜ?」と聞かれると答えられない。答えを見れば、「知っていた」と答える生徒は多いでしょう。知っている答えでも聞かれ方が違うと答えられない。何が不足しているのかと言えば、問題には作成した人がいて、自分はその人からの質問に答えているという考え方です。

 何回もお話しするように、普段からキャッチボールができているかが問われます。試験はそこが重要です。解答用紙の向こう側にいる出題者と対話をしていると考えて、本番に臨んでください。きっと学んできたことの中から、答えが見つかるはずです。

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