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余録

「うら〓(うら)と初日の影や枯木立」…

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 「うら〓と初日の影や枯木立」。正岡子規(まさおか・しき)の1901(明治34)年正月の句で、昨年、他の4句と共に新発見の未発表作として注目された。句は一門らのため子規庵玄関に置かれた歳旦(さいたん)帳(ちょう)に記されていた▲「寝後れて新年の鐘を聞きにけり」「暗きより元(がん)朝(ちょう)を騒ぐ子供哉(かな)」「初夢や巨燵(こたつ)ふとんの暖まり」「留守の戸に名刺投込む御慶(ぎょけい)かな」……すでに重いカリエスに苦しんでいた子規だが、やさしい言葉で病床から正月の気配をとらえた▲子規の新年詠としてよく引かれる「新年の白紙綴(と)ぢたる句(く)帖(ちょう)哉」は、その前年の正月の作という。この先1年間に何が書かれるのか誰も知らない白紙の句帖である。記される一句一句が時を刻む命の営みとなる新年への決意がにじむ▲まだ見慣れぬカレンダー、どのページも白いままの日記が新しい年の訪れを教えてくれる元日である。今は数字でしかない見知らぬ日々を眺めていると、心の視線はいつもよりもちょっと遠くへと向かい、つぶやきは祈りに似てくる▲「初昔」は過ぎた年を振り返る新年の季語という。平成が来年4月で終わり、明治改元からは150年となる今年である。私たちはどこから来て、どこへ行くのか。歴史に深くおもりをたらし、未来への道筋を探る1年になるだろう▲見渡せば世界も不確実性の霧に覆われ、日記の白さが希望より不安を呼び起こす年明けでもある。そのページに記される個々の営みが、未来へ向かう大きな時間を再起動させる年になればどんなにいいだろう。

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