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熊本地震

関連死3割が車中泊 「健康確認、態勢確立を」

遺影を見つめながら母への思いを語る冨永さん=熊本市中央区で2017年12月21日午後6時30分、中里顕撮影

 2016年4月の熊本地震で震災関連死に認定された200人のうち、3割にあたる59人が車中泊を経験していたことが、熊本、大分両県の関係市町村への取材で分かった。専門家は、大規模災害時の車中泊者の健康チェック態勢を確立すべきだと訴えている。

 最大震度7を2回記録した熊本地震の被災地では、建物の倒壊を恐れて車中泊する避難者が続出した。

 3日現在、熊本県で197人、大分県で3人の計200人が震災関連死に認定され、直接死(50人)の4倍に達した。毎日新聞は昨年12月上旬、震災関連死を認定した熊本県19市町村と大分県1市の計20市町村に、認定者の車中泊経験の有無などを取材した。

 車中泊の経験があった59人は男性31人、女性28人。年代別では、80代が最多の19人に上り、70代以上が40人と7割弱を占めた。200人全員の死因は明らかではないが、熊本県が17年8月末に関連死した被災者の死因を調べたところ、呼吸器系疾患53人▽循環器系疾患50人▽突然死など28人--が目立った。

 車中泊と関連死の因果関係は不明だが、狭い車内で長時間同じ姿勢を強いられるため、下半身にできた血の塊(血栓)が肺の血管を詰まらせるエコノミークラス症候群を誘発することが指摘されている。

 震災関連死に詳しい神戸協同病院(神戸市)の上田耕蔵院長は「狭い車内で十分な休息を取れず、体調を悪化させて亡くなった人もいるだろう。車中泊した被災者の中でも特に健康状態が悪い人を継続的にチェックすることが重要で、行政やボランティアが車中泊者と接触する機会を増やす必要がある」と話している。【中里顕】

災害関連死

 建物倒壊による圧死や津波による水死など直接的な原因による死亡ではなく、被災による急激な環境変化に伴うストレスなどで持病や体調が悪化して死亡したケースを指す。遺族の申請を受けて、自治体が設置した医師や弁護士などで構成する審査委員会が災害との因果関係を調査。自治体が関連死と認定すれば、生計維持者の場合は500万円、他の人の場合は250万円の災害弔慰金が遺族に支給される。

遺族「車内で寝泊まり、大きな負担を痛感」

 熊本市中央区の津崎操さん(当時89歳)も一時車中に避難して、震災関連死に認定された。当時操さんと車で過ごした長女の冨永真由美さん(58)は「車内で寝泊まりすることが大きな負担になることは、母のそばで痛感した」と振り返る。

 冨永さんは、夫と操さんとの3人暮らしだった。操さんは体が弱り、地震の半年ほど前から寝たきりだった。

 4月14日の前震で木造2階建ての自宅は激しく揺れた。介護が必要な母を車椅子に乗せて連れて行ける避難所が近くになく、犬も飼っていたため車中泊を選んだ。近くの大型店の駐車場には他にもペットを連れた近所の人が車中泊していた。

 4人乗りの軽乗用車の助手席を倒して母を寝かせたが、上半身がやや起きた状態。普段はたんが絡まると、冨永さんが寝たきりの母の体を横向きにしてたんを出していたが、助手席を倒した状態では出しにくかった。

 翌15日に一度自宅に戻ったが、16日の本震で再び車中泊を余儀なくされた。母は次第に呼吸が浅くなり、夜明けとともに急いで病院に連れて行ったが、息を引き取った。

 母が避難して休める場所を車で探すにも、通行止めなど道路事情が悪く、移動自体が困難だった。冨永さんは「当時を振り返ると、今も車中泊しか選べなかったと思っている」と唇をかみしめた。

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