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余録

「去年より金銀の流通あしく…

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 「去年より金銀の流通あしく、諸商売甚(はなは)だうすし。質屋休み多し。……人心安からず」。慶応4(1868)年正月の江戸風景で、その7月に東京へ改称、9月に明治改元となる▲江戸庶民が不安げに迎えた明治維新から150年がたつ。改元4年後の調査では、当時の日本の人口は約3480万人という。ちなみに18世紀以降の江戸時代は人口3000万人の大台を上下する。長きにわたる人口停滞社会だった▲明治に始まる日本の近代と工業化の歩みはそのまま人口増の歴史である。1900年には4384万人、1億を超えたのは明治改元から99年後の1967年、同じく140年後となる2008年の1億2808万人がピークとなった▲それから10年、人口減少時代の未来を探る「縮む日本の先に」が明治維新150年の小紙の大型企画となった。明治の先人は西欧文明の衝撃によって新時代の扉を開いたが、人口減少の衝撃から未知の時代へ立ち向かう現代日本人だ▲思えば19世紀の西欧文明に適応しながら、対外拡張で破局を招いた150年の前半だった。後半は米国主導の20世紀文明に適応して経済大国化を果たしたが、今は拡張や成長を突き動かした人口増が過去のものとなった21世紀である▲司馬遼太郎(しば・りょうたろう)さんの小説「坂の上の雲」は明治の健全なナショナリズムを描いた代表作だった。だが今、人口のピークを越えた私たちが目ざすべき文明は坂の上の空にはない。試されるのは、内なる成熟から未来を開く大いなる知恵である。

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