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我らが少女A

/155 第5章 1=高村薫 多田和博・挿画監修

 事件の参考人浅井忍が思いがけない動きを見せたことで、特命班の再捜査はとりあえず延命となったが、いまや新たに掘り返せる鉱脈が限られていることに変わりはなかった。現に、十二年前には捜査が及ばなかった上田朱美の素行や人間関係について、探せばそれなりにいろいろ出てくるものの、肝心の事件に結びつくような関係性は見いだせない。仮に生前の朱美が同棲(どうせい)相手に絵の具の話をしていなかったら事件との関連は絶対に浮かんでこなかったのと同じく、出てくるのはどれも、本来であれば誰にも掘り返されることなく忘れられ、埋もれていったはずの凡庸な不良少女の来歴に過ぎない。裏を返せば、事件は十五歳の朱美とそれほど密接に結びつかないところで突発的に起きた可能性が高いということであり、朱美の鑑捜査がつねに壁にぶち当たるのは必然でもあった。

 一方、『栂野節子の人生と生活』というパズルも、あらためて眺めてみれば実に小さく、ピースの数もごく少…

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