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今週の本棚

持田叙子・評 『おもかげ』=浅田次郎・著

 (毎日新聞出版・1620円)

戦災孤児に生を重ねて

 おもかげ。美しいことばである。

 おもかげとは、消え去ったもの、失われたもの、決して手に入らないもの。失った悲しみをこらえて生きた人間の胸にこそ秘められる、永遠に狂おしく恋しい何かであろう。

 クリスマス・シーズンに浮き立つ都心の地下鉄の車両で、一人の男が倒れた。脳出血で意識不明。背広すがたに不似合いな花束をかかえていた。定年退職を社に祝ってもらった帰りだった。

 病院に搬送され、集中治療室でチューブにつながれて眠る六十五歳の彼、竹脇正一がこの小説の主人公である…

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