初めて会った人と、すぐに打ち解ける。祭りの時は誰かの家に集まり、ごちそうを作って「おきゃく(宴会)」を楽しむ--。「高知にはきっと陽気な神様が住んでいるのよ」。高知県津野町出身の久慈美賀さん(60)はおどけた。東京に暮らして40年あまりになるが、「はちきん」と呼ばれる高知女性の快活さを失わない。
おきゃくの場には、いつも「田舎ずし」があった。魚介ではなく、山の幸をネタにする。定番は甘辛く煮たタケノコやシイタケ、こんにゃく、そして酢漬けにしたミョウガ、塩漬けのリュウキュウ(ハスイモ)。すし飯に「ゆず酢」と呼ばれるユズの果汁を利かせ、砂糖を多めに加える。地元では「野菜ずし」「タケノコずし」などと呼ばれていたが、1986年に開かれたおにぎりの全国コンテストをきっかけに「田舎ずし」と名付けられて広まった。
津野町は四万十川の源流がある。久慈さんの伯母は、関西圏のアユ釣り客が泊まる旅館を営んでいた。食事に田舎ずしを出すと「これは何?」と喜ばれた。久慈さんも台所を手伝いながら、自然に作り方をおぼえた。
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