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東京地裁

夫婦別姓を求め提訴 サイボウズ社長ら

選択的夫婦別姓を求めて提訴し、記者会見するサイボウズの青野慶久社長(左)=東京都千代田区で2018年1月9日午前10時53分、丸山博撮影

 日本人同士が結婚する際に夫婦別姓を選択できないのは憲法違反だとして、東証1部上場のソフトウエア開発会社「サイボウズ」(東京都中央区)の青野慶久社長(46)ら男女4人が9日、1人55万円の国家賠償を求めて東京地裁に提訴した。法律婚をした男性が夫婦別姓制度を求めて国を訴えるのは初めて。【坂根真理】

 訴状によると、青野さんは2001年に結婚し、妻の姓「西端」に変わった。旧姓「青野」を戸籍姓として名乗ることを希望しているが現行法では認められず、やむなく仕事や日常生活で通称として青野を使っている。戸籍法では、(1)日本人同士の結婚(2)日本人同士の離婚(3)日本人と外国人との結婚(4)日本人と外国人との離婚--の4ケースのうち、(1)以外では同姓か別姓かの選択肢がある。原告側は、日本人同士の結婚の場合のみ別姓を選べない「法の欠陥」が、結婚に関して「法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」と規定する憲法24条や、「法の下の平等」を定めた憲法14条に反すると主張する。

 原告代理人の作花知志弁護士は「日本人同士が結婚したときだけ姓を選べないのは、国がルールを新たに作ることを怠った結果だ。立法不作為によって原告は姓を変えることになり、精神的苦痛を被った」と説明する。

 提訴後の記者会見で青野さんは「私が原告になることで、男女を問わず(問題が)起きていることや、精神的なストレスだけでなく経済合理性から見ても日本の損失になっていることを伝えたいと考えた」と話した。

 法務省民事局は「訴状が届いていないので現段階ではコメントできない」としている。

 最高裁は15年12月、明治時代から続く民法の夫婦同姓規定を「合憲」と判断したが、裁判官15人のうち女性3人全員を含む5人が憲法違反との意見を示した。最高裁判決が「制度のあり方は国会で議論されるべきだ」と指摘したのに対し、以来2年間、国会ではまったく議論が進んでいない。

多様性、認められるか 解説

 「同姓でいたい人は同姓に、別姓にしたい人は別姓に。どちらにするかを選ばせてほしいだけ」。上場会社のトップが国を相手取って違憲訴訟を起こすのは異例だが、サイボウズの青野慶久社長は、そう強調する。

 厚生労働省の人口動態統計によると、結婚時に夫の姓を選ぶ夫婦は96%。女性の社会進出が進み、価値観が多様化したとはいえ、姓を選択する場面では家制度の名残が見え隠れする。最高裁は同姓しか選べない現状を合憲と判断した理由として「結婚前の旧姓使用が広まることで不利益が緩和される」と述べたが、「緩和されれば不利益を強いてよい」と根拠を示して結論づけたわけではない。

 強制的夫婦同姓制度が世界的に珍しくなる中、「別姓を認めると家族の絆や一体感が失われる」という主張も国内の一部に根強く残る。ただ、原告の中には「全国的に珍しい姓を変えたくない」「姉妹全員が結婚して夫の姓になると実家の姓が途絶えてしまう」といった「伝統的価値観」に基づく理由で選択的夫婦別姓制度を求めている人もいる。

 今回は、同姓がよいか別姓がよいかを問う裁判ではない。「姓と絆」の相関関係を論じようともしていない。投じられた一石は、改姓を強制するのか、多様性を認めるのかを問うている。議論の深まりに期待したい。【坂根真理】

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