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<その185> オプラのスピーチ=城島徹

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黒いドレスのオプラ・ウィンフリーさん=米カリフォルニア州ビバリーヒルズで2018年1月7日、長野宏美撮影 拡大
黒いドレスのオプラ・ウィンフリーさん=米カリフォルニア州ビバリーヒルズで2018年1月7日、長野宏美撮影

 米国ビバリーヒルズで7日、開かれたゴールデン・グローブ賞の授賞式は性暴力や抑圧に抗議する式典と化した。被害者との連帯を示す黒衣の女優が勢ぞろいするなか、映画界への功績をたたえる「セシル・B・デミル賞」を黒人女性として初めて受賞した女優のオプラ・ウィンフリーさん(63)がセクハラ問題を告発する圧巻のスピーチを行った。

 メリル・ストリープ、エマ・ストーン、シャロン・ストーン、リース・ウィザースプーン、アンジェリーナ・ジョリー、ナタリー・ポートマン、ニコール・キッドマン……。式典会場はセクハラ問題への抗議や連帯の証しである黒い盛装で出席した女優たちであふれた。

 性的暴力の被害者を支援する「#MeToo(私も)」運動、もう沈黙してはいられないというプロジェクト「Time’s Up(もう、おしまい)」への連帯をアピールするためで、毎日新聞特派員は「レッドカーペットが黒ドレスに染まった」とリポートしている。

 ウィンフリーさんも黒いドレス姿でスピーチした。「あまりにも長い間、女性は男性の権力に立ち向かって真実を語っても聞いてもらえなかった。だが、それは『もう、おしまい』。新たな日が迫っている」(毎日新聞)。その全文を知人が「感動的」と送ってくれた。

 彼女は少女だった1964年のアカデミー賞で、映画「野のユリ」に主演した黒人のシドニー・ポワチエが最優秀男優賞に輝いた時の感動を回顧しつつ語り始めた。「いま私の姿を見ている少女たちがいることに大きな意味があると感じる。本当に光栄なことです」

 そして、44年にアラバマ州で6人の白人男性たちにレイプされた黒人女性、リーシー・テイラーさんが全米黒人地位向上協会スタッフのローザ・パークスさんとともに告発し、不公平な司法の壁にはばまれた長い闘いに触れ、こう呼びかけた。

 「テイラーさんは98歳の誕生日を目前にした10日前に亡くなりました。(その生涯を踏まえて)そんな時代はもうおしまい。タイムズアップ!」。新しい時代の到来を告げた彼女に、黒い衣装の女優たちは一斉に立ち上がり、喝采の拍手で応えた。

 私が南アフリカに赴任していた時、黒人女性の助手が身寄りのない少年について「オプラの番組に出てもらいましょう」と真顔で言った。トーク番組の司会者として異国でも根強い人気があることを知った。その後、敬愛する故ネルソン・マンデラ元大統領が呼びかけたエイズ啓発コンサート会場で、仲良く談笑する姿を目撃した。「次期大統領候補」との声も出始めたが、このスピーチが時代の風向きを変えるのか注目したい。【城島徹】

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