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社説

慰安婦問題で韓国が見解 「合意」の根幹を傷つけた

 元慰安婦をめぐる状況を可能な限り改善しようとしたのが日韓合意ではなかったのか。その原点が見失われている。

     韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が合意に関する対処方針を発表した。合意に批判的な運動団体などへの配慮が目立ち、納得しがたい点が多い内容だ。

     再交渉は求めないものの、日本に自発的な謝罪を期待するという。合意に基づいて設立された財団に日本が政府予算から拠出した10億円については、韓国政府が同額を用意すると表明した。

     文大統領はきのうの年頭記者会見で合意を「間違った結び目」と表現した。さらに、財団を通じて元慰安婦に支給された拠出金を韓国政府の資金に置き換えていくと語った。

     元慰安婦の支援団体が日本に突き返せと主張していることを意識したのだろう。だが、政府予算からの拠出は日本が国家としての責任を明確にした措置だ。それを否定しては合意の根幹を傷つけてしまう。

     そもそも政府予算からの拠出は韓国側が要求してきたものだ。日本は法的には解決済みという立場を守るために応じてこなかった。

     そのため、1990年代に設立されたアジア女性基金が元慰安婦に支給した「償い金」は募金でまかなわれた。韓国では政府拠出でないことへの反発が強く、基金の事業はうまくいかなかった。

     そうした経緯を踏まえて日本は日韓合意で政府予算からの拠出に踏み切った。韓国側も「国家賠償」と明示されないことを受け入れた。一人でも多くの元慰安婦が存命のうちに支援するための歩み寄りだった。

     外交交渉で一方の要求がすべて通ることはない。政権交代があっても国家間の約束は守るというのが国際常識だ。

     ただし、日本は依然として、慰安婦問題に国家としての責任を負っている。文政権の非常識さをとがめるだけで済むものではない。真摯(しんし)に向き合う態度を取り続け、国家としての道義を示すことが求められよう。

     東アジアの厳しい安全保障環境を考えても、日韓関係を悪化させることは双方の利益に反する。慰安婦問題での感情的対立を再燃させず、安保など他分野での協力を進めていくことが大切だ。

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