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岩間陽子・評 『北朝鮮 核の資金源 「国連捜査」秘録』=古川勝久・著

 (新潮社・1836円)

浮かび上がるネガポジ反転の国際社会像

 著者古川勝久氏は、国連安保理決議一八七四号に基づく専門家パネル(北朝鮮制裁担当)の委員を二〇一一年一〇月から一六年四月まで務めた人物だ。テレビコメンテーターとしても登場しておられるので、ご記憶の方も多いだろう。国連には重要なポストが山ほどある。そのポストに、資格と意欲と能力を兼ね備えた人物が就くことは、稀(まれ)である。ましてやその人物が職を務め上げたうえで、四年半にわたる経験を、本に書きあげるだけの気力と能力と時間があり、かつ、スパイ小説のようなエンターテイニングな文章に仕上げる才があることはもっと稀である。その全てが運よく揃(そろ)って、本書は、北朝鮮に対する制裁実施の実情の一端を、我々に知らせてくれる。

 学生に国際政治の授業をするとき、教え方の最も難しいトピックの一つが国連だ。そもそもの期待値が高すぎる。世界中の英知を結集して新しい国際機関を作れば、世界から紛争や戦争をなくせるはずだ、という希望が出発点にある。国連は、諸国家の上にある何だか知らないけどえらいもの、という思い込みがある。そうすると、失敗ばかり目につく。

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