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三浦雅士・評 『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』=ティム・インゴルド著

 (左右社・3348円)

 考えるヒントに満ちた一冊。

 一九六〇年代から七〇年代にかけて人類学は時代の先端を走る学問だった。フランスの人類学者、レヴィ=ストロースらの標榜(ひょうぼう)した構造主義が一世を風靡(ふうび)していた。だが、八〇年代、九〇年代にかけて翳(かげ)りが見え、社会学に道を譲り、それも今世紀に入ってからは政治学に道を譲ったように見える。保守と革新という図式が鮮烈さを失っただけ、逆に、解釈の学としての政治学が、政治史、政治思想史を含め、前面に迫(せ)り出して来たのだ。主義主張抜きに、内外の政治の動向をどう読み解くか、政治学はいわば文芸批評、あるいは推理小説に似たようなものになり、読者の幅を大きく広げた。

 人類学においても今世紀に入ってから沈滞を打ち破る徴候が見えてきた。日本でいえば木村大治の『括弧の意味論』(週刊誌の見出しにやたら増えてきた括弧とはいったい何かを論じている)であり、英国でいえばティム・インゴルドの『ラインズ--線の文化史』である。人類学というよりは文芸批評あるいは詩学と形容したほうがいいほどで、人類学者たちがいまや、人類学の方法、すなわち生活している人間たちを読み解く技術そのもの…

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