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イラン核合意

米大統領が見直し要求 制裁は見送り

米国とイランの対立関係図

 トランプ米大統領は12日、欧米など主要6カ国がイランと結んだ核合意について、イラン側の合意違反を理由とした制裁の再発動を見送り、当面は合意を維持すると発表した。ただしイランによるウラン濃縮活動を無期限に停止する内容などを盛り込み、合意の見直しが必要だと主張。応じなければ米国が合意を離脱する考えを示したが、イラン側は反発している。

 【ワシントン会川晴之】トランプ米大統領は12日の声明で、イランを「世界最大のテロ支援国家」と指弾、弾道ミサイル開発なども含め中東地域の不安定化を加速させているとして、対イラン包囲網の構築に強い意欲を燃やした。

 トランプ政権は、イランが中東地域で米国に敵対する勢力の支援を活発に続けていることを警戒している。米国はイランが▽シリアのアサド政権▽イラクのイスラム教シーア派武装勢力▽レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ▽パレスチナのイスラム原理主義組織ハマス▽イエメン反政府派のイスラム武装組織フーシ--などに資金や武器を供給していると分析。米国と同盟関係にあるイスラエルやサウジアラビアなどの安全保障を脅かしていると見なす。

 米国の保守系シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」によると、イランはシリアやヒズボラなどの武装組織に年間160億ドル(約1兆8000億円)を支援している。

 中でも11年から内戦状態に陥ったシリアには、イラン革命防衛隊の精鋭部隊を派遣、ヒズボラやパキスタン、アフガニスタンで募集した約2万人規模のシーア派民兵を傘下に置き、米国やサウジなどが支援した反政府勢力を敗退に追いやった。

 またイランが支援する勢力は、イラク、シリアに展開した過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討戦でも勝利を収めた。

 米国防総省は「イランは首都テヘランから地中海に面したレバノンの首都ベイルートに至る『シーア派の三日月地帯』を築きつつある」と指摘している。

 また、15年3月からサウジが主導する連合軍が空爆を始めたイエメン反政府派のフーシへの支援もイランが加速させていると見る。米国はイランが弾道ミサイル、対戦車砲、攻撃用無人機、無人高速艇などを供与していると分析している。

イラン、新制裁には反発

 【カイロ篠田航一】トランプ米大統領がイランに対する経済制裁の再発動を見送る判断を示したことで、イランは当面、一層の経済的苦境に陥る事態を回避できる見通しだ。

 イランでは昨年12月末から約1週間、物価上昇に抗議する反政府デモが起きるなど国民の不満が高まっている。核合意の行方が不透明な状況下、イランへの投資に足踏みしていた外国企業も多く、イランは今後、核合意維持で「共闘」した欧州諸国を中心に積極投資を呼びかけ、経済再建を図るとみられる。

 一方、トランプ氏が核合意の見直しを求めた声明について、イランのザリフ外相は12日、「核合意に再交渉の余地はない」とツイッターで反論し、「多国間の取り決めを台無しにしようとする自暴自棄の企てだ」と非難した。また、反政府デモ弾圧などの人権侵害に関し、米財務省がラリジャニ司法府代表を含む14個人・団体を米独自の新たな制裁対象とした。これに対しイラン外務省は12日、「トランプ政権は悪意に満ち、レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」との声明を発表、「報復措置を取る」と警告した。

 イランは今回、トランプ政権の最終判断直前まで外交攻勢を続けた。ザリフ外相は11日、核合意を結んだ主要6カ国(米英仏中露独)当事国の英仏独の外相とブリュッセルで会談。「核合意はイランの核武装を防いでいる」(ジョンソン英外相)など核合意の意義についての言質を改めて引き出した。ロシアと中国も核合意を支持しており、米国の「孤立」を国際社会に印象付けた格好だ。

 背景には、経済的打撃を最小限にとどめたいイラン指導部の思惑がある。2016年の制裁解除後に原油輸出が急増したが、今なお若年層の失業率は約3割に上り、年末からの生活苦を訴えるデモは徐々に「体制批判」に発展。危機感を抱いた政府は19年3月までに90万人以上の雇用を創出する計画を発表し、予定していた燃料費の値上げも延期を決めた。

 対話外交を掲げる保守穏健派のロウハニ大統領は、制裁解除を機に外資を誘致して経済成長を軌道に乗せる計画を進めている。

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