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論の周辺

戦後を照らし出す回想録

 ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんが、「自伝的回想録」と銘打った著書『記憶の海辺』(青土社)を出した。池内節ともいうべき個性的な文体の妙味を存分に楽しめるエッセー集だが、副題にあるように「一つの同時代史」でもある。1940年生まれの著者がたどってきた人生の軌跡とともに、戦後の日本と世界の動きがいっぷう変わった角度から光を当てられ、浮かび上がってくる。

 最初の章は「38度線」。池内さんが10歳になる50年に勃発した朝鮮戦争のことが語られる。ただし、語りはあくまで当時の子供が見たものを基本に、生まれ育った城下町・姫路(兵庫県)の光景へ溶かし込むように進む。「私たちは毎朝、新聞の大見出しを食い入るように見つめていた。学校へ行く道みち、てんでに感想を述べあった」「鉄工所の前の空地に、つぎつぎと大量の鉄材が運ばれてきた」

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