それは昆布ですか、とツッコミをいれたくなるようなひげ。立派な太鼓腹。垂れた乳首にぎょろっとした目。かなりデフォルメされていそうだが、リアルだな、と思わせる不思議なオーラがある。ガラスケース越しでも存在感は圧倒的だ。
中国で、死者とともに墓に副葬される人形(ひとがた)の俑(よう)といえば兵馬俑が有名だが、本展で紹介されるのは、唐時代の「胡人(こじん)俑」。中国からみて北方や西域、南方など非漢民族の人々を模したやきもの「陶俑」である。唐の都でシルクロードの拠点となった長安(現在の西安)から北西約150キロにある甘粛省慶城県の穆泰(ぼくたい)墓で、2001年に出土した。胡人はシルクロードを舞台に、交易などにかかわったとされる。
穆泰墓の胡人俑は、表情や着衣、ポーズの取り方に至るまで実に手が込んでいる。生き生きとしているのだ。当時の中国の人々の、異民族・胡人に対する関心の高さの表れなのだろう。俑=副葬品の技術の高さは、当時の慶城県の繁栄の証拠でもある。大阪市立東洋陶磁美術館の出川哲朗館長は「特定の誰かではなく、デフォルメすることによって、今、ここにいる人の『本質』を表そうという意欲が見て取れる」と指摘する。
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