- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

<document>
タクシードライバーの醍醐味(だいごみ)は、と問われれば--。「モモちゃん」こと、宇都宮桃子さん(24)が働く互助交通(東京都墨田区)の南砂営業所(江東区)で事故処理などを担当する野口卓也さん(40)は迷わず「昼食」を挙げる。
野口さんは少し前までドライバーだったが、今は内勤だ。見知らぬ土地で乗客を降ろした後、未知の味を求めて車を走らせた日々が懐かしい。新鮮な出合いが仕事の意欲をかき立てもした。モモちゃんは昨年10月にデビューしたころ、「車を離れて大丈夫かな?」と新人にありがちな不安を拭えず、手作りの弁当を持参していた。ランチを満喫する「タクシー女子」になるには少し時間がかかった。
営業を始めて数日後。東京・赤坂のオフィスビル街の駐車スペースに車を止めて、弁当箱を開いた。車内ににおいが残らないように窓を全開にする。玄米に卵焼き、酢豚、トマト、とろろ昆布。料理が好きで、彩りもこだわった弁当だけれど……。顔を上げると、フロントガラスの向こうにチョークで書かれた黒板のランチメニューや、同年代の女性たちが会話を楽しみながらしゃれた店に入っていく姿が見える。少し心が曇り、ため息が出た…
この記事は有料記事です。
残り567文字(全文1072文字)