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社説

難民申請者の就労制限 均衡のとれた政策なのか

 急増する難民申請者の就労を大きく抑制する方向転換だ。

     法務省が、難民申請の6カ月後から日本での就労を申請者に一律に許可する制度を改め、きのうから新たな運用を始めた。

     簡易審査で申請者を振り分け、就労目的での申請など、明らかに難民に該当しない申請者については就労を認めず、在留期限が過ぎれば強制退去の手続きを進める。

     2010年に1202人だった難民申請者数は16年に1万人を超え、昨年は9月までに1万4000人に達した。これは10年に「申請者の生活支援」を目的に従来の方針を転換したからだ。多くは紛争で祖国を追われた人ではないとみられる。

     今回の運用は、難民の要件に該当しない人の申請を抑制する一定の歯止めになるだろう。

     ただし、申請者の実態に目を向ける必要がある。大半が「技能実習」「留学」などの在留資格を持つ人たちだ。技能実習生は最長5年間日本に滞在できるが、3年間は決められた就労先以外で働けない。

     母国のブローカーに多額の仲介料を搾取された人も多く、低賃金かつ過酷な職場環境で長時間労働を余儀なくされている。留学生も週28時間以内の労働に制限されている。

     難民申請の審査が終わるまでには約3年かかる。申請すれば合法的に滞在でき、よりよい就労先も見つけられる。就労目的の申請急増の背景にはそんな事情があるとされる。

     しかも、外国人労働者の存在抜きには運営できない中小工場や農家が多いという日本の実情もある。働き手不足に苦しむ業界にとっては実習生や留学生は貴重な労働力となり、地域経済を支えている。

     ならばこうした外国人労働者の受け入れや就労環境を改善する政策も併せて取るべきだろう。

     政府全体の取り組みとして均衡を欠いていないか。

     現在でも、逃げ出した実習生に偽造ビザをあっせんする業者がいるという。非合法的な業者へと実習生らを追い込んではならない。

     日本の難民認定数は少ない年で1ケタにとどまり、国際社会の標準に比べ極めて少ない。そういう中でこうした措置がどう見られるのかも留意する必要がある。

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