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武田 砂鉄・評『女たちの王国』曹惠虹・著

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命を生み、つなぐ性がこの社会を握っている

◆『女たちの王国 「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす』曹惠虹/著 秋山勝/訳(草思社/税別1900円)

 中国西部の雲南省と四川省の境にあるルグ湖のほとりで暮らす「モソ人」は、家父長制ならぬ家母長制を守り抜く。夫婦の概念すら存在せず、祖母、娘、孫娘と、家長が母系で継がれていく。シンガポールで企業弁護士として働き、猛烈な男性社会に嫌気が差してリタイア、「文化の中心に女性の精神」があるモソ人の文化に惹(ひ)かれ、その土地で暮らし始めた著者による一冊。

 この本が突きつけるのは、人間社会を男性が支配する必然などあるのか、との問い。モソ人の社会は、必然性なんてない、と即答する。その昔、中国では女児の誕生を「災い」とし、男児の誕生のみが「慶事」だった。モソ人はその逆、というわけでもない。結婚など存在せず、男が女の元へ通い、子どもができれば母親の一族が育てる。その性愛生活は「走婚」と呼ばれるが、「フリーラブ」「オープンマリッジ」「一妻多夫制」との解説は…

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