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ナチス統治下で売却の芸術作品、スイス美術館が子孫への返還検討

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 1月15日、スイスのバーゼル美術館は、ナチスドイツの統治下で売却を余儀なくされたユダヤ人美術史家のコレクションを、子孫に返還することを検討している。美術館は2008年、この人物の所有だったことを示す証拠がないとして、返還要請を拒否した。写真は2008年3月撮影のバーゼルのようす(2018年 ロイター/Arnd Wiegmann) 拡大
 1月15日、スイスのバーゼル美術館は、ナチスドイツの統治下で売却を余儀なくされたユダヤ人美術史家のコレクションを、子孫に返還することを検討している。美術館は2008年、この人物の所有だったことを示す証拠がないとして、返還要請を拒否した。写真は2008年3月撮影のバーゼルのようす(2018年 ロイター/Arnd Wiegmann)

 [チューリヒ 15日 ロイター] - スイスのバーゼル美術館は、ナチスドイツの統治下で売却を余儀なくされたユダヤ人美術史家のコレクションを、子孫に返還することを検討している。美術館は2008年、一連の作品がこの人物の所有だったことを示す証拠がないとして、返還要請を拒否した。

 同美術館が所有するのは、1943年に米国で死去したクルト・グレーザー氏が所有したとされる絵画など120点。ムンクの「マドンナ」のリトグラフも含まれている。

 グレーザー氏は、ベルリンの美術図書館長の職を失い、反ユダヤ法の最初の施行により自宅を追われたことから、1933年に作品群を競売にかけた。

 グレーザー氏の相続人らは、新たな証拠が発見されたとして再度返還を要求。1933年6月のバーゼル美術委員会の議事録に「グレーザー競売より」と記載されていることから、美術館が購入元を認識していたことを示す証拠だと主張している。

 バーゼル美術館長はこの主張を受けて調査チームを設置、10年前にどのようにして、グレーザー氏に作品が所属した根拠がないとの結論に至ったかを検証するとしている。

 美術館側は、今週にも相続人や弁護士との間で話し合いを持つ可能性があるとしている。

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