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第94回センバツ高校野球

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候補校紹介/8 高知追手前(四国・高知) 恵まれぬ環境で工夫

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鉄棒で体幹などを鍛える高知追手前の選手たち 拡大
鉄棒で体幹などを鍛える高知追手前の選手たち

高知追手前(おうてまえ)

 午前6時50分。学校の開門時間に合わせて登校した部員が向かうのは、グラウンドではない。まず、周辺の歩道などを全員で清掃するのが部の伝統だ。20分程度とはいえ、ただでさえ短い練習時間がさらに減る。それでも、主将の中山歩武(2年)は「感謝の言葉をかけてもらうこともある。練習前に気持ちを落ち着かせることで集中力も上がる」と前向きにとらえている。

 進学校ゆえに、平日の練習時間は長くて2時間あまり。縦90メートル、横75メートルのグラウンドは他の五つの部と共用し、常時使えるのは内野部分のみだ。グラウンド脇にあるロープを登ったり、鉄棒を使ったりして筋力や体幹を強化。県内には明徳義塾など強豪校があり、「普通のことをやってもスター軍団には勝てない」と常広直樹監督(38)。室内練習場はなく、雨が降っても外で練習することもある。

 四国大会出場がかかった昨秋の高知大会3位決定戦は雨中の試合で、名門の高知商を9-6で破った。「雨でびちゃびちゃのグラウンドで練習していたので、自分たちが有利だったかも」と中山。恵まれない環境を言い訳にせず、懸命に取り組んできた成果が出た。

 1878年創立の県立高。野球部は1902年創部で、野球どころの高知で最も長い歴史を誇る。高知城東中時代の46年夏の全国選手権と翌春の選抜大会に、ともに県勢初出場。エース前田祐吉(故人、元慶大監督)を擁して選抜では4強入り。戦後初開催だった大会を沸かせたが、その後は甲子園から遠ざかっている。

 現チームのエース岡林倖生(2年)は「先輩たちの伝統を引き継いでいくことを期待されていると思う」と言う。父の母校でもある高知商への進学も考えたが「野球も勉強もしっかりやる」と、高知追手前を選んだ。常広監督が「前田さんが健在の間に甲子園に」を目標にしていた大先輩の死去から2年。創立140年の節目に、71年ぶりの大舞台を目指す選手たちの士気は高い。【野村和史】=つづく

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