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芥川賞

石井さんと若竹さんの2人に 直木賞は門井さん

芥川賞に決まった「おらおらでひとりいぐも」の作者・若竹千佐子さん(右)、直木賞に選ばれた「銀河鉄道の父」の作者・門井慶喜さん(左)=東京都千代田区で2018年1月16日、和田大典撮影
石井遊佳さん=(C)新潮社写真部

 第158回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に石井遊佳(ゆうか)さん(54)の「百年泥」(「新潮」11月号)と、若竹千佐子さん(63)の「おらおらでひとりいぐも」(「文芸」冬号)が、直木賞に門井慶喜さん(46)の「銀河鉄道の父」(講談社)が選ばれた。石井さんと若竹さんは初めての候補での、門井さんは3回目の候補での受賞となった。

 石井さんは大阪府枚方市生まれ。東京大大学院で仏教を学んだ。現在はインド南部チェンナイ在住で、現地のIT企業内で日本語教師を務める。今回の受賞作「百年泥」は昨年の新潮新人賞を受けたデビュー作だ。

 受賞作は、日本で多重債務を抱えた女性がインドへ渡って日本語教師となったてんまつを、投げやりでユーモアあふれる筆致でつづる。現地で100年に1度の洪水に見舞われ、大混雑する橋の上で汚泥の中からさまざまな記憶や想念が立ち上ってくる。

 南インドの石井さんは東京都内で開かれた受賞会見に電話で応じた。受賞の知らせを受けて、夫と2人で踊って喜んだという。石井さんは「何年かかっても、何回生まれ変わっても、作家になりたいという気持ちは揺るがなかった。受賞は私の力でなく、周囲の支えてくれた人のおかげだと今となっては思う」と話した。

 若竹作品は半世紀前に東北から上京し、家庭を営んできた74歳の女性「桃子さん」が主人公。夫を亡くして失意に沈んでいるものの、来し方と行く末について情緒に流れず、東北弁を駆使して思弁を深めていく。人生の再出発を宣言する明るいファンファーレが聞こえるような一作だ。

 会見場で、若竹さんは「人生の終盤にこんな晴れがましいことが起こるなんて。方言は自分に一番正直な言葉。私には東北人としての喜びがある。『千佐子、いがったなあ』。今後も私の老いと同時並行で、魅力的なおばあちゃんの小説をずっと書いていきたい」と語った。

 門井さんは群馬県桐生市生まれ、宇都宮市育ち。同志社大文学部卒。大学職員の傍ら執筆を始め、2003年、オール読物推理小説新人賞を受賞。06年「天才たちの値段」で単行本デビュー。16年、ミステリー評論で日本推理作家協会賞を受賞した。大阪府寝屋川市在住。

 受賞作は、宮沢賢治の父政次郎の姿を描いた長編小説。愛し、心配し、長じては困り者の息子を嘆息しつつも支援する。ユーモアを交えながら抑えた筆致で父親像に迫り、父の視線で賢治という人間も浮かび上がらせた。

 会見で門井さんは「風が来た。飛ぶだけだ。そういう気持ちです」と喜びの第一声。「21世紀の読者にとって価値のあるものを歴史の中に見つけ、21世紀の文章で届けていきたい」と抱負を述べた。

 贈呈式は2月下旬に東京都内で開かれ、正賞の時計と副賞の賞金100万円が贈られる。【鶴谷真、内藤麻里子】

 芥川賞選考委員、堀江敏幸さんの話 若竹さんの作品は、勢いある東北弁の一人称を標準語の語り手の言葉が制御し、バランスのよい作品となった。石井さんの作品は、混沌(こんとん)としたインドに飛び込んだ日本人女性の現実、奇想、妄想を織り交ぜながら、言葉を上手に制御しきれない魅力があった。両作とも甲乙つけがたく、新人らしい勢いと冷静に自分の力量を見極める力があった。年齢は議論にならなかった。

 直木賞選考委員、伊集院静さんの話 父の言葉には弾力性と愛情が細部に宿り、小説として成功している。語り口が独特の門井ワールドで、一つのことを端的に短い文章で表すことに優れており、ユーモアもある。

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