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特集

富士山書き初め2018 文を尊び、山に学び

認定NPO法人 富士山世界遺産国民会議・青柳正規理事長

 子どもたちに富士山をもっと身近に感じてもらおうと、書き初めのコンクール「富士山書き初め2018」(毎日新聞社・認定NPO法人富士山世界遺産国民会議主催、山梨県・静岡県後援、公益財団法人独立書人団協力、米久株式会社協賛)が今年から始まった。小学生低学年、高学年、中学生の部で作品を募集、合わせて1万3297点の応募があった。課題は低学年が「ふじ」「朝やけ」、高学年は「白雪」「富士山」、中学生は「登頂」「霊峰富士」。各部門で最優秀賞が1点、毎日新聞社賞が1点、山梨県知事賞が1点、静岡県知事賞が1点、富士山世界遺産国民会議賞が2点選ばれた。

     各部門の受賞者名、上位部門受賞の作品を紹介する。また、富士山世界遺産国民会議の青柳正規理事長に日本での富士山や書き初めの文化について話を聞いた。

     なお、受賞作は毎日新聞東京本社(東京都千代田区一ツ橋1)で24日まで展示中。表彰式は21日に行われる。

    富士の美しさ感じて 認定NPO法人 富士山世界遺産国民会議・青柳正規理事長

    小学生低学年の部最優秀賞 児玉和城さん
    小学生低学年の部毎日新聞社賞 杉本紗菜さん
    小学生高学年の部最優秀賞 矢部ひかりさん
    小学生高学年の部毎日新聞社賞 山根由衣さん
    中学生の部最優秀賞 的場琴海さん
    中学生の部毎日新聞社賞 上田夏瑠さん

     --子どもたちの書を見ての感想をお願いします。

     ◆ひらがな、漢字どちらの書からも一人一人の頭の中にある富士山が浮かび上がってきます。最優秀賞を受賞した小学校1年の作品「ふじ」からはとてもふくよかで、きれいに書くことへの喜びが初々しく出ています。小6の作品は端正で、きちんと書かれていますし、中2の作品は富士山の神々しさが文字に表現されていると思いました。

     --日本の伝統行事である書き初めの意味とは?

     ◆もともとは宮中で行われていた儀式でしたが、江戸時代以降、庶民にも広がった習慣です。和紙に向かい新しい一年を出発させるために文字から始める。「文」を尊ぶ社会の気風、習慣の表れだったのです。畳にきちんと座り、筆を持ち字を書くという作法はこれからも大切にしていかなければならないと思います。

     --若い世代にとって富士山の持つ意味は?

     ◆若い人たちにはさまざまな場面で文化的な豊かさを感じ取ってほしいですね。ことに富士山は写真、絵画、小説などの題材として数多く取り上げられています。実物は見る機会がなくても、芸術作品にふれることで、富士山の美しさを感じてほしい。またそうした経験の積み重ねによって富士山の象徴性、美しさが日本人の心の中に定着するのではないでしょうか。日本の文化的豊かさ、日本を愛することにもつながってくると思います。

     --若い世代に伝統文化が根付いていないという声もあります。

     ◆どんな時代にも「今の若者は……」という意識はあります。ただ、文化は連続しており、循環するものですから、一つの枠の中に押し込めるのでなく、若い人の持っている新しいエネルギーを伸ばしてあげることも大切だと思います。ただ、現実には伝統文化に触れることが少なくなってきています。小中学生の時にそうした機会を作ってあげることは必要ですね。畳は日本文化にとって大切なものです。畳に正座する、書、華道の芸術、大の字に寝転がってもいい。畳があることで日本文化に触れることができるのです。「各小学校に畳のある部屋が一つあればいいなあ……」と思います。【聞き手・小川節子】


     ◆総評

     最終審査委員の二人に受賞作の総評を聞いた。

    イメージが文字に 仲川恭司審査委員長 (一財)毎日書道会理事 (公財)独立書人団理事長

     みなさんに富士山のイメージがしっかりとあるので、そのイメージがうまく文字に表れていた。のびやかさ、さわやかさなど、文字にその気持ちが乗っているのを感じた。富士山を大事にしようという気持ちが表現されている作品が多かった。また、上位入賞者の作品には筆ならではの文字の美しさが見て取れた。

    気持ち表れていた 長野秀章審査委員 東京学芸大学名誉教授 前文部科学省教科調査官

     小学校低学年から中学校まで9学年にわたって審査した。実力的にも高いレベルの作品が多かった。参加していただいた保護者、指導者、本人の気持ちが作品に表れていた。特定の課題に対し、それぞれの学年の実力に応じて取り組んでいた。書くというのは、ただ文字を書くのではなく、言葉を書くことだ。字形が整うことも大事だが、言葉を書くという気持ちも大切だ。


     ◆受賞者一覧敬称略

    小学生低学年

    <最優秀賞>高松市立川添小1年・児玉和城<毎日新聞社賞>奈良県橿原市立畝傍東小3年・杉本紗菜<山梨県知事賞>和歌山県紀美野町立下神野小3年・岡本実穏<静岡県知事賞>和歌山県広川町立津木小3年・落合結菜<富士山世界遺産国民会議賞>山口県下関市立川中小2年・石橋亜樹、同市立熊野小3年・志摩葵

    小学生高学年

    <最優秀賞>静岡県牧之原市立相良小6年・矢部ひかり<毎日新聞社賞>鳴門教育大学付属小5年・山根由衣<山梨県知事賞>青森市立浪岡北小6年・工藤咲彩<静岡県知事賞>富山県上市町立相ノ木小6年・早瀬うらら<富士山世界遺産国民会議賞>高松市立川添小4年・児玉光瑞葵、同市立栗林小6年・本岡愛唯

    中学生

    <最優秀賞>和歌山市立西浜中2年・的場琴海<毎日新聞社賞>和歌山県有田市立保田中3年・上田夏瑠<山梨県知事賞>千葉大学教育学部付属中1年・細島未羽<静岡県知事賞>弘前大学教育学部付属中1年・石黒佑華<富士山世界遺産国民会議賞>静岡市立安東中2年・竹下弥央、甲府市立富竹中2年・開沼大河


     ■人物略歴

    認定NPO法人 富士山世界遺産国民会議・青柳正規理事長

     中国・大連出身。東京大名誉教授。国立西洋美術館館長、文化庁長官を歴任。ポンペイ遺跡発掘に携わった

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