今年は手塚治虫(1928~89)の生誕90周年。後期の代表作「陽(ひ)だまりの樹(き)」は曽祖父の蘭方医、手塚良庵(後に良仙を襲名)を主人公に、幕末の激動期をたくましく生きる人びとを描いた物語だ。良庵が学んだ大阪の蘭学塾「適塾」は手塚の母校、大阪大のルーツでもある。福沢諭吉、大村益次郎ら多彩な人材を生んだ学びやをしのびに訪ねた。【反橋希美】
お調子者で女性にだらしないが、患者と向き合う姿勢は真剣そのもの--。人間味あふれる医師として描かれる良庵は、常陸府中藩(茨城県)の藩医の息子として江戸で生まれ育つ。適塾入門は1855(安政2)年。その後は江戸で種痘所開設に尽力し、西南戦争に医師として従軍後、病死した。物語は良庵と、その盟友で倒れゆく幕府に忠誠を誓う架空の武士、伊武谷(いぶや)万二郎を軸に展開する。
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