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科学取材の経験が豊富な青野由利専門編集委員のコラム。

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美しい脳=青野由利

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 「美しいブレインでした」。ちょうど2年前、「皇室の主治医」も務めた金沢一郎さんの葬儀で国立精神・神経医療研究センターの水沢英洋さんが述べた弔辞にどきっとした。

 ブレインは脳。水沢さんの言葉は金沢さんが献脳したことを紹介するもので、会場の空気が一瞬、張り詰めたような気がした。

 この出来事を思い出したのは金沢さんが力を入れた神経疾患ブレインバンクへの「献脳」生前登録が昨秋で10年になったと知ったからだ。念願だった国内に点在するバンクをつなぐ「日本ブレインバンクネット」も整備された。だが、ここに至る道のりは平たんではなかったはずだ。

 金沢さんはハンチントン病などの神経難病が専門の神経内科医で、1970年代に英国留学から戻って筑波大に着任した。そこで出会った後輩が水沢さん。患者さんから死後に提供される脳の病理解剖に共に熱心に取り組んだ歴史がある。

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