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社説

トランプ1年 米国第一主義 リーダーの責任はどこに

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 超大国が自国優先を振りかざし、国際協調に背を向けたままでは、世界の秩序を維持できない。

     「米国第一」が旗印のトランプ米大統領は貿易赤字削減と雇用確保を最優先にする保護主義政策を進めてきた。代表例が、多国間の自由貿易を目指した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱だ。

     英国の欧州連合(EU)離脱決定に続く反グローバリズムのうねりを象徴した。同時に経済大国として世界を安定成長に導くリーダーの責任を放棄する宣言でもあった。

     もっとも、この1年の世界経済は好調に推移した。TPPは発効前であり、米国離脱による景気への影響はひとまず避けられた。世界的な回復の主因は貿易の活発化と国際通貨基金(IMF)は分析している。

     第二次世界大戦後に国際社会が築いてきた自由貿易体制の成果である。もともとけん引したのはグローバル化のメリットが大きい米国だ。

     それなのにトランプ氏は、秋の中間選挙もにらんで、保護主義政策をさらに強めようとしている。

     メキシコ、カナダとの北米自由貿易協定を巡っては、離脱もちらつかせて米国に有利な見直しを迫る交渉を進めており、これから山場だ。

     最大の貿易赤字相手である中国に対しては、巨額の制裁関税を検討している。中国との貿易戦争に発展し世界経済を混乱させかねない。

     そうなれば米国にもマイナスに働く。輸出が落ち込むと雇用に響く。安い輸入品が減れば、家計を圧迫する。とりわけトランプ氏が支持を呼びかけた低所得層に痛手だ。

     より大きな国益をもたらすのは自由貿易である。だからこそ米国を中心に国際社会が協調して保護主義の阻止に取り組んできた。

     さらに米国には大きな責務がある。民主主義や法の支配など普遍的価値に基づき国際協調をリードすることだ。TPPは米国が主導し、どの国にも貿易や海外投資をしやすくする透明性の高いルールを定めた。

     経済規模では中国に迫られているが、その規範力によって米国は世界で抜きんでた存在だった。

     トランプ氏の判断基準は米国に損か得かである。実利を追うだけで協調を軽視しては孤立を深める。それは米国の利益にもならない。

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