特集

今週の本棚

「面白い!読ませる!」と好評の読書欄。魅力ある評者が次々と登場し、独自に選んだ本をたっぷりの分量で紹介。

特集一覧

今週の本棚

中村桂子・評 『脳の意識 機械の意識』=渡辺正峰・著

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 (中公新書・994円)

主観と客観つなぐには

 人間について考える時知りたくなる一つが意識だろう。科学でこの課題に取り組むなら、当然脳のはたらきを考えることになる。もっとも、「物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳」のはたらきだけで意識が語れるだろうかと思う人は多いだろう。脳神経科学者である著者は、意識は脳のはたらきとして解明できると確信している。「意識の移植が確立し、機械の中で第二の人生を送ることが可能」と考え、それを選択したいとも言う。評者は、これには同調しないけれど、意識への新しい取り組みとして新たな「自然のルール」の導入を意図するという著者の言葉には惹(ひ)かれる。意識をどのように捉えるにしても、それを知りたいと思わせるものがある。

 意識といっても漠としているので、対象を、「感覚意識体験」(クオリア)に絞り、視覚、具体的には「両眼視野闘争」で研究を進める。まず右眼に縦縞(たてじま)、左眼に横縞という異なる図形を提示すると、数秒間隔で縦縞が見えたり横縞が見えたりと交代が起きる。縦縞が見えている時の横縞は、「視覚入力があるにもかかわらず意識が生れていない」わけである。この時どんな神経活動が起きているか。

この記事は有料記事です。

残り926文字(全文1439文字)

あわせて読みたい

注目の特集