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センター試験

ムーミン論争過熱 フィンランドの根拠は…

地理Bの問題より。「タ」と「B」がフィンランド、「チ」と「A」がノルウェーという組み合わせ

 大学入試センター試験・地理Bのアニメの人気キャラクター「ムーミン」を扱った問題が大きな波紋を広げた。ムーミンの舞台をフィンランドとした設問に「ムーミン谷が舞台」などとツイートが相次ぎ、北欧の研究者らを巻き込む議論に発展した。果たして出題ミスだったのか。議論が過熱した背景は--。【水戸健一、伊澤拓也、金秀蓮】

 ムーミンが登場したのは北欧の3カ国に関する問題。ノルウェーとフィンランドが舞台のアニメとして「ムーミン」と「小さなバイキングビッケ」を挙げ、両国の言語で書かれたカードとの正しい組み合わせを答えさせた。センターはムーミンとフィンランド語の組み合わせを正解とした。

 専門家の立場から疑問を投げかけたのは、大阪大外国語学部スウェーデン語専攻の古谷大輔准教授らだ。15日に公表した見解で「物語の舞台のムーミン谷は架空の場所」「ビッケと仲間たちが住んでいる村もノルウェーとは明示されていない」と指摘し「フィンランドとノルウェーを描いた根拠がなければ解答不能になる」と危惧を表明した。

 ムーミン公式サイトも反応した。「原作の挿絵に『フィンランド湾』と書かれている」としつつ「アニメの設定は十分な資料がなく、舞台がフィンランドかは第三者の検証に委ねたい」と発信した。

 センターの根拠は何か。取材に文書で回答し「日本で刊行された書籍に原作者のコメントとして『フィンランドにあるムーミン谷』との記述が見られる」と説明した。一方、ビッケは明確な出典が確認できないとし「ノルウェーを舞台にしたアニメとの記述は、厳密な意味では正確ではない」と認めながら「設問の趣旨を分かりやすく示すためだった」と釈明した。

 センターは問題のムーミンの画像から「低平で森林と湖沼が広がるフィンランドが類推される」とも説明する。20日には、地理や地学の教員らでつくる「日本地球惑星科学連合」の有志が「平地、樹木、湖沼はノルウェーにも実在する」としてセンターに説明を求める要望書を送った。

 センターは、出題ミスではないとの立場を崩していない。「バイキング」はノルウェーに関連すると類推でき、教科書で取り上げている言語区分の知識があれば正解を導けることなどから「地理Bの知識・思考力を問う問題としては支障がなかった」と主張する。

 センター試験では、昨年の日本史Aでも、「妖怪ウォッチ」や、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるさんの描く妖怪が登場するなど、世間の関心を呼ぶ出題がある。ムーミンの問題に対しては「アニメ好きが正解しやすく、不公平だ」との声もあった。

 だが、センターは「解答にキャラクターや著者の出身国、原作の言語に関する知識は直接、必要がない」との見解だ。日本テスト学会副理事長を務める南風原(はえばら)朝和・東京大高大接続研究開発センター長は「学校で学ぶ知識から正答することができるならば実際上、問題にならない」と解説する。

 また、センターはムーミンの問題を「知識・思考力を問う設問」と位置付けるが、南風原センター長は「問題を解く上である種の『気づき』は必要だが、それはとりたてて『思考力』と呼ぶほどのものではない」と話す。

 過熱する議論をよそに、受験生は意外と冷静だという。都立のある進学校の校長は「ムーミンを知らなくても解けるので、うちの学校では特に騒ぎはない」と明かす。「生徒は制限時間内に、自分の知識でなんとか答えを導き出そうと必死で、ムーミンをそれほど気にかけていない。大人の方がムーミンに親しみがあるから騒ぎになったのでしょう」と笑った。

問題の作り方

 大学入試センター試験の問題は、大学入試センターが任命した国公私立大の教員や学識経験者でつくる「教科科目第1委員会」が作成。委員は約420人。任期は2年で氏名は公開されていない。教科・科目ごとに22部会があり、地理A、Bの問題は地理問題作成部会が担当する。一方、問題が適切かのチェックは「教科科目第2委員会」が担う。委員は第1委員会の経験者ら約100人。19部会で構成され、問題に誤りがあれば、指摘して修正させる。第1と第2委員会の兼任はない。

バイキングの主要活動地域と大学入試センターの見解に基づく解き方

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