メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

キャンパスNOW

トップに聞く 2042年-創立100周年へ 学校法人・東海大学 松前義昭理事長

まつまえ・よしあき 1956年東京都生まれ。78年東海大工学部卒。工学博士。日本電気勤務、同大教授、九州東海大学長などを歴任し、2014年より現職。現在、国際武道大副理事長、エフエム東京取締役、首都大学野球連盟会長、日本私立大学連盟理事など。専門分野は半導体工学。
東海大学湘南キャンパス

「未来創造」に向け

 昨年11月に創立75周年を迎えた学校法人東海大学。その先の100周年を見据えた総合戦略「学園マスタープランTOKAI CENTENARY PLAN~Voyage to 2042~」を策定・発表した。幼稚園から大学までの一貫教育を基軸として建学の精神「調和のとれた文明社会の建設」実現のために、これからの学園をどう運営・管理していくのか。松前義昭理事長に聞いた。【清水隆明】

    ◆マスタープラン策定

     --学園75周年を振り返った感想を聞かせてください。

     創立者・松前重義の理念に基づいた伝統や学園をつくった目的、目標をもう一度、再認識しました。建学の精神は、明日の歴史を担う強い使命感と豊かな人間性を持った人材を育てることで実現します。その原点に立ち戻ったうえで、建学75周年を次の100周年を見据えた節目の年、新たなスタートの年と位置づけました。

     その準備の一つが新たな学園総合戦略となるマスタープランの策定です。また、大学湘南キャンパスのサイエンスプラザ(18号館)やテクノキューブ(19号館)、付属札幌高校の新校舎の建設など記念事業としてさまざまな施設・設備を整備しました。今後に向け気を引き締めています。

     --理事長として今後の大学経営に求められることは何だと思いますか。

     国内では少子高齢化が進み、世界では宗教や民族の紛争など不安定な状況が続いています。企業でも1年前に掲げていた目標がガラッと変わったという話はよく聞きます。世の中は先が読めなくなり、大学を取り巻く環境は常に変わっていきます。それをどう乗り越えていくかです。予測できないとはいえ、変化を脅威ではなくチャンスととらえ、世の中の流れに迅速に対応できる経営システム、教育組織を作ることが必要です。

     そのために例えば、効率のいい生産体制を作ったトヨタ自動車とか自分たちの理念を通し続けるホンダとか、今まで世界で戦ってきた企業を見習い、生かせる部分を取り入れていきたいと思います。

    目的地までの羅針盤

     --マスタープランには「建学の精神」実現のため、25年後の「学園のあるべき姿」「学園の戦略実行計画」などが明記されています。「学園のあるべき姿」では「地球市民として未来を創造していく人材を育成する」など5項目、「戦略実行計画」では教育研究、財務、人事、施設設備の4項目の方針が示されています。その目的、狙いを教えてください。

     マスタープランは、これから我々が最終目的地(建学の精神の実現)へ到着するために、どのように目標を立て、行動しなければならないかを示した仕組みです。マスタープランと同時に「先駆けであること~Think Ahead,Act for Humanity~」というブランドメッセージも発表しました。我々の姿勢を表す「先駆け」という合言葉を再認識するためです。最終目的地にたどり着くまでの道のりは人が通った道ではなく、新しいことに挑戦して自ら切り開いていかなければならないことを表しました。

     私は大学卒業後9年間、日本電気(NEC)の開発部署にいて、資材調達から設計、試作、実験、生産設備準備まで全工程を担当しました。他部署や請負会社、工場従業員らさまざまな人と話をし、多くのことを理解しました。上司や同僚、我々をサポートする部署と常にチームワークで動きましたから、成果はみんなのもの。働くことが楽しいし思い悩むこともありませんでした。それが、大学へ来たらチームワークはほとんどありません。「それは担当じゃないからオレ知らない」と言われることもあり、カルチャーショックを受けました。

     そういうこともあって私はマスタープランを「羅針盤」と呼びました。最終目的地に行く航路は複数ある、途中で針路変更があるかもしれない。でも、その際は理事長や学長ではなく「羅針盤」を手に教職員全員が協議して最適な針路を決める、間違えた時はみんなで修正するという意味を込めたのです。

    一貫教育と文理融合

     --理想とする学園・大学の将来像に向けて力を入れることは。

     目的・目標を円滑に達成するためのPDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Act=改善)のサイクルを円滑にして、時代の流れに即応できる文化をできるだけ早く創りたいです。柔道部は1976年に現副学長の山下泰裕氏が入部してから雰囲気が変わり、優秀な人材を輩出していますが、「名門」と呼ばれる「文化」になるまでに約40年かかりましたからね。

     我々の教育に関するあるべき姿を体現するために、創立者が唱えた「一貫教育」と「文理融合」を一層、進めます。それには学内の雰囲気が大切です。一貫教育で小さい時から教育目的を理解させていけば、大学に内部進学する付属生が他の学生をリードしてくれるでしょう。また、知識だけでなく、文系・理系を問わず広く物事を見て総合的に判断する(文理融合)人材を世に広めていけば目的実現に近づくでしょう。

     --「平和」を建学以来のテーマに掲げています。

     世界平和を根底にして活動する人材を増やす具体例は留学生です。60年代半ばから、国際協力機構(JICA)の要請などにより、いち早くタイからの留学生受け入れや教員派遣をしました。また、松前重義が旧社会党衆院議員(6期)で旧ソ連をはじめ東欧諸国と深い親交のあった縁で、60年代後半からはブルガリアや旧ソ連など東欧圏の学生を入学させました。90年代以降はサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など中東地域の学生が増えています。化石燃料枯渇後を見据えて日本の技術を学びに来ています。数学などでの手厚い補講や世界大会で実績を上げたソーラーカーの製作も本学進学に影響しています。多文化共生と相互理解の促進のほか、彼らには日本語を覚えてもらって母国で活躍してもらい、日本との懸け橋になってくれることを願っています。


    75周年を迎え 「先駆けであること」をスローガンに掲げ

     東海大学の創立者、松前重義が教育者として活躍するのは戦後のことだ。19世紀の戦乱で衰退したデンマークが教育によって再興したことに感銘を受け、同国を範にしつつ、文理融合教育の実践、科学技術立国を支える人材と世界平和に貢献する人材の育成を掲げ、学園の整備を行った。

     現在、大学は北海道、東京、神奈川、静岡、熊本に計8キャンパスを擁し、幼稚園、小・中・高校、短大も含め計約5万人が学ぶ。四つの付属病院や研究所なども持ち、日本を代表する広域総合教育機関になった。

     東海大学は初の民間FM局・FM東海(現・エフエム東京)を開局して通信教育を行い、原子力の平和利用に資する技術者養成のため、原子力工学専攻を工学部に開設。冷戦時代から旧ソ連や東欧諸国と国際交流にも取り組む。この歴史を踏まえ、「先駆けであること」をスローガンに掲げた。

     一貫教育のメリットを生かし、学園オリンピックを開催し、スポーツや芸術分野などで活躍する付属校の生徒の発掘に力を入れる。ソーラーカーの研究・開発には1991年から取り組み、世界大会で優勝するなどの実績を上げている。

     通信技術や人工知能の発達で、第4次産業革命と呼ばれる時代に突入した。グローバル化が進む中、地域紛争も激しさを増す。混迷の時代に、創立者の学園設立の思いは輝きを増しており、創立100周年に向けた取り組みが期待される。【毎日新聞大学センター長・中根正義】


    東海大学 5都道県に8キャンパス

     湘南=神奈川県平塚市北金目4の1の1▼代々木=東京都渋谷区富ケ谷2の28の4▼高輪=東京都港区高輪2の3の23▼清水=静岡市清水区折戸3の20の1▼伊勢原=神奈川県伊勢原市下糟屋143▼熊本=熊本市東区渡鹿9の1の1▼阿蘇=熊本県南阿蘇村河陽▼札幌=札幌市南区南沢5条1の1の1

    学生数

     2万9644人(学部・大学院合計、2017年5月1日現在)

    学部

     文学部、政治経済学部、法学部、教養学部、体育学部、理学部、情報理工学部、工学部、観光学部、情報通信学部、海洋学部、医学部、健康科学部、経営学部、基礎工学部、農学部、国際文化学部、生物学部(※4月より文化社会学部、健康学部を設置)

    URL

    https://www.tokai.ac.jp

    問い合わせ先

     経営企画室広報課=03・3467・2211

     ※法人(グループ)としては、短期大学4、高校14、中等部6、小学校1、こども園4などがある

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 所ジョージ 「夏に胆のう摘出手術」 新番組で記者会見
    2. 新潮社 「あのヘイト本」Yonda? 看板に落書き
    3. 貿易制裁 第3弾、消費者直撃 米家電、中国部品に依存
    4. 対中制裁第3弾 日本企業困惑 生産拠点の中国離れ加速か
    5. みんなの広場 切り抜き読み返す「人間」=主婦・横井由美子・67

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです