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京大

iPS研で論文不正 図でデータの捏造や改ざん

所属する助教による論文の不正行為が判明し、記者会見で謝罪する京都大の(左から)山中伸弥iPS細胞研究所所長、湊長博副学長、山本克己副学長=京都市左京区で2018年1月22日午後5時32分、小松雄介撮影

 京都大(京都市)は22日、京大iPS細胞研究所の山水康平(やまみず・こうへい)・特定拠点助教(36)が昨年2月に発表したヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する論文で、データの捏造(ねつぞう)・改ざんがあったと発表した。論文を構成する図や補足図に計17カ所で捏造と改ざんがあり、論文の主張に沿うよう有利にデータが操作されていたという。京大は論文の撤回を申請しており、今後、関係者の処分を行う予定。他の研究や今後の研究には影響はないとしている。同研究所を含め、京大で論文の捏造が認定されたのは初めてという。

 記者会見した山中伸弥研究所長は「強い後悔、反省をしている。応援いただいている皆様に心よりおわびを申し上げる」と陳謝した。山中所長は、所長を辞任するかどうかの質問に「その可能性も含め、しっかり検討したい」と述べた。

 不正が認定されたのは、ヒトのiPS細胞から、脳血管細胞を作製し、血中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を作製することに成功したとする論文。創薬研究に利用できれば、アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるとした。山水助教は筆頭・責任著者だった。昨年2月に米科学誌「ステム・セル・リポーツ」の電子版に発表され、3月に同じ科学誌に掲載された。

 iPS細胞から作った脳血管内皮細胞で、細胞に特有の遺伝子が働いているかどうかを解析し、論文では有意に高いことが示されたが、研究室に残されたデータではその結果は出なかった。また、生体内の血液脳関門と同じようなバリアー機能があるか調べる薬物透過性試験でも論旨に沿うようにグラフを作成するなどしていた。脳血管細胞の作製には成功していなかったとみられるが、京大の聞き取りに対し、山水助教は「論文の見栄えを良くしたかった」と話しているという。

 この論文に疑義があるとの情報が内部から同研究所に寄せられ、研究所が昨年7月に大学に通報。京大は外部委員を加えた調査委員会を設置し、9月から調査を始めていた。【野口由紀、池田知広】

     ◇

 問題の論文について、毎日新聞は、米科学誌が出版される前の昨年2月、同じ科学誌の電子版に発表された際に一部地域の紙面で報じました。

iPS細胞(人工多能性幹細胞)

 細胞に遺伝子などを導入することで、体のさまざまな部位の細胞になる能力を持つ細胞。京都大の山中伸弥教授らが開発し、山中教授は2012年、ノーベル医学生理学賞を受賞した。臓器の細胞や組織を作ることで病気やけがの治療に使う再生医療や、病気の仕組みの解明、新薬の探索に役立つと期待されており、既に臨床試験が始まっている。

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