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社説

春闘と3%賃上げ要請 企業自らが人への投資を

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 今年の春闘が事実上始まった。政府が賃上げの旗を振る「官製春闘」は5年目だが、特徴は、安倍晋三首相の要請に応じ、経団連が「3%賃上げ」という異例の数値目標を示して企業に呼びかけていることだ。

     昨年まで4年間の妥結実績である2%台を上回る。連合は4%を要求し、どこまで実現するかが焦点だ。

     もっとも3%を達成したのは1994年が最後だ。経営者には高水準の賃上げに慎重な姿勢も目立つ。

     賃金は労使交渉で決めるのが原則である。政府には大幅上昇で成果をアピールする狙いがあるが、介入は経営判断をゆがめかねない。

     それでも政府の思惑とは別に企業は自主的に積極的な賃上げに取り組んでほしい。「人への投資」は企業の成長力強化に結びつくからだ。

     好業績が続く大企業の手元には多額の現預金がある。首相に指図される前に自らの判断で有効に使うのが経営者の役目であろう。

     日本企業の間では「賃上げすると人件費負担が膨らみ、国際競争力が低下する」との考え方が根強い。

     しかし、人手不足が深刻化し、人材の確保と育成が企業の大きな課題となっている。安い人件費が武器の新興国に対し、日本企業の強みは高い付加価値を持つ製品である。人への投資を通じて従業員の意欲や能力を高めることが必要だ。

     春闘は長時間労働の是正など働き方改革も主要テーマだ。短時間で効率的に働ける仕組みにすれば、生産性も向上する。残業代が減っても収入が減らない工夫も求められる。

     経営者が賃上げに消極的なもう一つの理由として挙げるのは、世界経済の先行き不透明感である。

     米国の保護主義政策や中国の不動産バブルなど懸念を抱えているのは確かだ。だが将来が見えにくいのは、どの時代も共通している。

     日本の高度成長も、戦後の復興が一段落した後であり、最初から右肩上がりが保証されていたわけではない。それでも企業が積極的な賃上げや投資に踏み切ったことが成長のエンジンになったと指摘される。

     組合加入率の低下で春闘の影響力も落ちている。だが人への投資は中小企業も含めた経済全体に重要な課題だ。それを確認する場と位置づければ意義はまだ大きいはずだ。

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