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小笠原村

空港計画、世界遺産と両立は? 村長に聞く

東京都小笠原村の森下一男村長

 小笠原諸島と東京都心を結ぶ航空路開設を都に要望している小笠原村の森下一男村長(68)が、毎日新聞のインタビューに応じた。同諸島は2011年に世界自然遺産となったが、森下村長は「小笠原は自然が財産」と述べ、空港建設と自然との共生を目指すことを強調。早ければ3年後にも、空港計画の概要を村民らに提示し、パブリックコメントを募る意向を示した。

 森下村長は「自然を保護しながら利活用する。取り返しのつかないものを壊してまで(建設する)ということは望んでいない」と話し、環境に配慮したコンパクトな空港建設を掲げた。

 海外の世界遺産では、文化遺産の「ドイツ・ドレスデンとエルベ峡谷」で、登録後に建設した橋が「景観を損ねる」として遺産から削除された例もある。森下村長は「自然遺産と文化遺産とは違う」と指摘した上で「建設候補地は世界自然遺産の区域ではない。(登録維持と空港との)どちらかを選ぶことは考えていない。だからこそ時間がかかり、苦労している」と話した。

 航空路開設について、約7割が「必要」とした同村の有権者(当時)へのアンケートは、世界自然遺産に登録される前の07年から08年に行われた。森下村長は「私は4年ごとの(村長)選挙で(空港建設を)伝えて当選した」と述べ、空港建設推進が民意を得ていることを強調した。

 1989年、村役場がある父島から北に約800メートル離れた兄島に中型ジェット機が離着陸できる空港の建設計画が浮上。環境庁(当時)などの反対で計画は中止となった。その後の世界遺産登録では、兄島に残る特有の自然が評価された。森下村長は「現在も厳しい規制や課題があるが、クリアできる兆しが見えてきた。かつ、安全安心のためにも必要だという機運が高まっている」と必要性を訴えた。【荒木涼子】

一問一答

 森下一男村長との主なやりとりは次の通り。

 --世界自然遺産登録と空港建設が両立しない場合は。

 両立しないということはない。(建設候補地は)遺産区域ではなく、国立公園法にも抵触しない。沖縄・石垣島での空港建設をめぐり、サンゴ保護のために行った努力を現地で見てきた。取り返しのつかないものを壊してまで(建設する)ということは、誰も望んでいない。

 --以前のアンケートは、世界遺産登録という節目の前に実施した。再度実施する必要性はないか。

 選挙のたびに(建設の意向を)伝えている。具体案を示すのが政治家としての責任。具体案について、村民に限らず、広く意見を拝聴したい。

 --昨夏開かれた航空路協議会は7年ぶり。なぜこの時期に。

 航空路開設は、1968年の返還以来続いている村民の悲願だ。都心との距離は約1000キロあり、自衛隊による救急搬送には至らない患者やけが人の通院など、村民生活の安心につながる。だが、地形は険しく、滑走路確保も難しかった。最近、短い滑走路でも長距離飛行できる航空機材も出てきた。都には、返還50周年となる今年6月をめどに、一定の方向性を出すよう要望している。

 --現在検討中の案では1日1便で40人程度。採算のめどは。

 公務員をはじめ、村民の出張や通院などで十分なニーズはある。ただ、この規模の空港運営については国や都と勉強していかないといけないと思う。

 --自然に配慮がない観光客が押し寄せる懸念も指摘されている。

 航空路はあくまで村民の足。観光は今後も船をメインにしたい。観光客には「竹芝桟橋を出た時から小笠原への旅は始まっている」と言ってもらっている。自然は村の財産。それに影響がある形で人を招くことはできない。自然を保護しながら利活用していきたい。

空港建設をめぐる小笠原諸島の歴史

1968年6月 日本に返還。小笠原村設置

 72年4月 東京-父島間に定期船就航

 89年2月 都が兄島に滑走路1800メートルの空港計画発表

 96年2月 新種の動植物発見などを受けた環境庁(当時)などの反対で都が兄島案を白紙に

 98年4月 都が父島南部の時雨山を新たな空港候補地として決定

2001年11月 時雨山での建設断念

 16年6月 世界自然遺産登録5周年記念イベントで丸川珠代環境相(当時)が「空港建設に協力していく」と発言

 17年7月 都が協議会を7年ぶりに開催。世界遺産区域外の父島「洲崎地区」での滑走路1200メートルの空港計画案発表

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