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テレビ

4K、特需の落とし穴 受信に専用チューナー必要

テレビ売り場に並べられた4Kテレビ=東京都渋谷区で2018年1月19日午後2時16分、宮武祐希撮影

 きめ細かな映像を楽しめる「4Kテレビ」が売れている。4Kの実用放送開始は12月以降だが、現行の地上波と衛星放送も高画質で見られるため、平昌(ピョンチャン)冬季五輪を控え、家電業界は需要の伸びを期待する。ただ、4K放送の受信には専用チューナーが必要になるなど、混乱を招きかねない懸念があるという。【小林祥晃】

平昌五輪控え、売れ行き好調

 「年末年始は好調でした。売れ筋は50インチ前後の大型4Kテレビ。15万~20万円の価格帯が人気です」。東京・渋谷にある家電量販店「ヤマダ電機LABI渋谷」の担当者の表情は明るい。

 4Kは、現行の地上波などの2Kを超える超高精細の映像規格のことで、鮮やかで立体的な映像が特徴だ。メーカーなどでつくる「電子情報技術産業協会」によると、4Kテレビの出荷台数は年々増え続け、2011年の統計開始以来の累計は350万台を超えた。

 なぜ、4Kテレビは売れるのか。電機・IT業界に詳しいジャーナリストの大河原克行さんは「まず、今がテレビの買い替えサイクルに当たっている影響が挙げられます」。家庭用テレビの耐用年数は9年と言われている。地上波テレビは11年にアナログ放送から地上デジタル放送へ完全移行したが、移行を機に購入されたテレビが買い替え時期を迎えているのだ。

 家電業界は今後、今年6月にサッカー・ワールドカップ、20年に東京五輪・パラリンピックなど、大型イベントが相次ぐことにも期待を隠せない。業界には白黒テレビの時代から「大型スポーツイベント前はテレビが売れる」という経験則がある。テレビの普及率は、皇太子ご成婚パレードのあった1959年に2割強だったが、前回東京五輪の64年には9割近くにまで増えた。パナソニックの広報担当者は「テレビの販売台数のうち4Kが占める割合は現在4割くらい。この比率は20年に向け、上がっていくはず」と鼻息が荒い。

 12月からNHKなどが衛星放送で4K・8Kの実用放送を始めることもプラス材料だ。「『東京五輪を見るのならば4Kを買っておいた方がいい』と勧める販売店が多いようです」と大河原さん。

 かくして「4K特需」に沸く家電業界だが、実は懸念がある。今後始まる実用放送の受信には別売りの専用チューナーの購入が必要になることだ。チューナーはこれから本格的に発売されるが、家電業界は価格を数万円と見込んでいるという。WOWOWやCS放送などを受信するには、専用パラボラアンテナも要る。

 この仕組みが浸透していないことも懸念材料だ。放送業界や家電業界でつくる「放送サービス高度化推進協会」の調査(昨年9月)では、受信にチューナーなどが必要だと知っていた人は10.9%。4Kテレビ購入済みの人でも6割が知らなかった。

 各メーカーは今後「チューナー内蔵」の新製品も投入する見通しだが、同協会は「既に購入した人から『受信できない』『知らなかった』といった苦情が殺到するのは避けたい」とし、広報に努めていく。

 また、4K放送が今後どの程度普及するのかも不透明だ。より高画質な8K開発が進む一方、地上波は当面、2Kでの放送が続くからだ。大河原さんは「シャープは8K製品の開発と販売に熱心ですが、他の国内メーカーは4Kに注力している。メーカー間で勧める規格が異なれば、消費者がどれを選んでいいか混乱するのではないか」。

 かつて、家庭用ビデオの規格でVHS方式とベータ方式がシェアを競ったような事態が、テレビでも再現されるかもしれない。

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