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第94回センバツ高校野球

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第90回選抜高校野球

金津、逃す 21世紀枠補欠校「大きな励みに」 /福井

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 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 26日に開かれた第90回記念選抜高校野球大会の選考委員会。「21世紀枠」の北信越地区候補だった金津(あわら市)は春夏通じて初の甲子園出場に期待がかかったが、出場3校に選出されず補欠校となった。しかし、選手らは「甲子園も夢ではないことが分かった。大きな励みになる」と前を向いた。【大森治幸】

 校長室では約20人の報道陣が見守る中、福田修校長が選考委員会からの連絡を待ったが、発表予定の午後3時を過ぎても電話は鳴らなかった。福田校長は、インターネットの速報を確認後、「(21世紀枠の全国)9校に選ばれたことを糧に夏の甲子園を目指してほしい」と期待した。

 選手らは授業を終えて午後5時ごろ体育館に集合。斎藤滋監督(50)は「選ばれなかったのは残念だが、自力で甲子園出場を取ろう」と呼びかけた。選手らは厳しい表情を見せたが、「よしっ」と気合いを入れ直し、練習を始めた。

 中橋朋希主将(2年)は「悔しいが、春は北信越大会に進んで、1勝を挙げることを目標に力を磨きたい」。マネジャーの永田陽香さん(同)も「悔しさをバネに更に強くなってくれるはず。これまで以上に選手を支える」と語った。

 金津は昨秋の県大会で初優勝し、地元や高校野球ファンを沸かせた。一方、地域の祭りに清掃ボランティアとして参加していることなどが評価され、21世紀枠の候補校に選ばれた。高桑篤耶選手(同)は「素晴らしい伝統をつないでいき、これからも地域活動にも部活動にも力を注ぎたい」と決意した。

弱小イメージ覆す金津の斎藤滋監督 選手の自主性育てる 二人三脚でチーム作り

部員に打撃のアドバイスをする金津高校の斎藤滋監督=福井県あわら市の同校で、大森治幸撮影 拡大
部員に打撃のアドバイスをする金津高校の斎藤滋監督=福井県あわら市の同校で、大森治幸撮影

 金津を指導する斎藤滋監督(50)は2006年にも武生商を21世紀枠の候補校に押し上げた。県内で同候補校に選ばれたのはこの2校のみ。無名校、弱小校--。そんなイメージを覆す活躍の背景には斎藤監督の「自主性を育てる指導」がある。今回もセンバツ出場はならなかったが、斎藤監督は「プレーや戦術、練習の意味を選手自身が考えることで、野球を楽しんでほしい」と、練習に励む選手を見つめる。

 斎藤監督は地元有数の進学校・高志(福井市)で白球を追った元高校球児だ。「進学校でも強豪校に勝てる」との信念で主将としてチームを率いた。

 経験のある監督がいないなか、母校・光陽中(同市)の野球部に足しげく通い、恩師に練習や指導のアドバイスを請うた。

 恩師は多くを語らない人だったが、部員よりも早く練習に顔を出し、前日に伝えた打撃などのアドバイスを理解していなければ「もう練習しなくていい」と容赦なく切り捨てた。口数が少ないため、部員は必然的に練習やプレーの意味を考えた。「考える姿勢や勝つためのノウハウは全て中学時代に学んだ」。自身は高校3年夏の福井大会で1回戦負けに終わった。悔しさが込み上げる一方、「野球部を指導したい」との思いも膨らみ、教員を目指した。

 考える野球、選手の自主性を育てる指導は今も追求している。金津では、野手は試合中、守備を終えてベンチに戻ると、必ず守備陣形について意見を交わす。自チームの投手と相手打者の特徴を考え合わせ、「右翼手はもう少し前」「内野のラインは上げても大丈夫」などと、打者ごとに有効な守備陣形の「最適解」を導き出す。外野の守備位置を10メートルほど変えることもある。

 打撃でも、相手投手の球筋や得意球などを分析・情報共有し、ただではアウトにならない。昨秋の県大会決勝延長十回に高桑篤耶選手(2年)が放った決勝本塁打もこうした分析から生まれた。

 斎藤監督は「『企業秘密』で全ては明かせないが、いろんな選手があらゆる角度から見た情報を総合し、狙って出た本塁打だ」と明かす。

 これまで監督を務めた高校は、指導者も設備も充実している強豪校とは違う。だからこそ「指導者の私と選手の『二人三脚』でチームを作る」との意識が強い。斎藤監督は「練習でも試合でも、選手の意見を大事にする。それが選手の考える力を育て、野球も楽しめる」と、春・夏大会でのチームの飛躍を見据える。【大森治幸】

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