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モリシの熊本通信

「復興ツーリズム」の可能性 /佐賀

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 つい先日、およそ1年ぶりに熊本城(熊本市)に足を運んだ。全国ニュースでは報道されることが少なくなった熊本城。現在どうなっているのか気になっていたところ、東京から遊びに来た知人が「城を見たい」と口にしたため、一緒に見に行くことにしたのだ。

     城の観光に最も便利な、二の丸駐車場に駐車。城に向かって歩く。平日、しかも城は復旧作業中だというのに、多くの観光客とすれ違った。日本人だけでなく、中国人、韓国人観光客の姿も目立つ。

     西大手門に到着。見学用の柵の位置が、以前より数十メートルほど奥へと移動しており、崩れた石垣を間近に見ることができた。大きな石が転がっている様子は、発災当時のことが思い起こされ、胸がきゅっと締め付けられるような感覚に陥る。初めて訪れた隣の知人は「うわあ……、こんなに被害がひどかったのか」と絶句していた。

     城の周囲には、見学用の歩道が整備されていた。歩いていくと、歴史的建造物の数々が目に飛び込んでくる。前回訪れた時は、大天守の傷つきながらも美しいその形状を確認することができた。しかし、現在は、メッシュシートに覆われて、かつ足場が組まれており、その姿をはっきりと拝むことはできない。

     市が「復興のシンボル」と位置づける天守復旧は、最優先で進められており、大天守は2019年、小天守は21年中の完成を目指すという。現在は大天守の最上階部分の再建中だ。しかし、城全体の復旧は20年計画。途方もない年数に、気分が少々暗くなる。

     休憩がてら、スマートフォンで検索すると、市観光ガイドのウェブサイトに「熊本城復元見学コース」の記載を見つけた。「今しか見られない熊本城の姿を!」のキャッチコピーとともに、見学ルートが分かりやすく紹介してある。確かに、復旧の過程は今しか見られない。加えて、過去と現在の技術を同時に知ることができる意味では、大変貴重なものだ。

     サイトをじっくり読み込んでいると、意識の外から歓声が聞こえてきた。顔を上げると、外国人観光客らが大天守をバックに、「自撮り棒」を使って笑顔で記念撮影している。観光名所として、しっかり機能していることに、安堵(あんど)した。

     熊本の象徴でもある熊本城。復旧の過程を見る、いわゆる「復興ツーリズム」を、個人的にも応援していきたい。


     ■人物略歴

    田中森士(たなか・しんじ)

     マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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