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科学取材の経験が豊富な青野由利専門編集委員のコラム。

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心ざわつく不正=青野由利

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 大学生のころ、学生実習でマウスに色素を注射する実験があった。

 しっぽの付け根の静脈に注射針を刺す。不器用なので、なかなか入らない。失敗を重ね、なんとか青い色素を注入したが、問題はその後だ。

 気の毒なマウスを解剖し、体の中を見る。その時の驚きが忘れられない。

 全体が青く染まった内臓の中で、脳だけが白く浮かんで見えた。毒物などの脳への侵入を阻むバリアー「血液脳関門」に守られ、色素は脳に到達しなかったのだ。

 古い話を思い出したのは、京大iPS細胞研究所が公表した論文不正がこのバリアーに関わるものだったからだ。

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