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社説

米大統領がTPP復帰言及 戦略の見直しなら歓迎だ

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 トランプ米大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への復帰に言及した。「米国第一」を掲げて自由貿易を批判し、1年前の就任直後に離脱してから初めてだ。

     唐突な発言であり、真意ははっきりしない。最大の貿易赤字相手である中国をけん制するカードとして、ちらつかせただけかもしれない。

     もともとTPPを推進していた米国には、アジア太平洋地域で大型経済圏を構築し、中国に対抗する狙いがあった。トランプ氏も中国を念頭に置いて太陽光パネルに対する緊急輸入制限発動を決めたばかりだ。

     しかし、発言が通商戦略の見直しを意図した可能性もある。

     米国抜きの発効に日本など11カ国が合意し、成長が見込めるアジアの経済連携に米国が出遅れる懸念が出てきた。米産業界などから復帰を求める声が上がっている。トランプ氏が秋の中間選挙もにらんで軌道修正するのなら前向きに受け止めたい。

     まずTPPの経済効果が格段に高まる。世界全体に占める経済規模は米国抜きでは1割強だが、米国が復帰すると一気に約4割に増える。アジア太平洋地域を広くカバーするという本来の目的も達成できる。

     超大国が多国間の枠組みに再び関与すれば意味は大きい。

     戦後の世界経済を支えたのは国際的な自由貿易体制だ。協調をリードしたのは米国であり、TPPも主導した。復帰すれば、地域の安定と発展の基軸になるはずである。

     もっともトランプ氏は「米国第一」の主張を引っ込めたわけではない。米国に都合のいい2国間交渉を重視する姿勢は変えず、TPPへの復帰も再交渉が条件と強調した。

     離脱前に結んだ内容を見直し、米国に有利になるよう求める公算が大きい。日本にも農産物などの一段の市場開放を迫ってきそうだ。

     TPPは各国の複雑な利害を調整したものだ。再交渉すれば、紛糾してまとまらなくなる恐れがある。

     また、米国が保護主義的な要求を持ち出すと、自由化が後退しかねない。TPPの効果が薄れ、結果的に米国の利益にもならない。

     日本政府も再交渉には否定的だ。まず11カ国での発効を優先させ、基盤を固める。その上で米国を説得し、復帰を働きかけていくべきだ。

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