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第94回センバツ高校野球

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第90回選抜高校野球

36校決定 公立の星、実力開花 湖国の3校に吉報(その1)

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初出場を決め、跳び上がって喜ぶ乙訓の選手たち=京都府長岡京市で2018年1月26日、小松雄介撮影
初出場を決め、跳び上がって喜ぶ乙訓の選手たち=京都府長岡京市で2018年1月26日、小松雄介撮影

 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

 第90回センバツの出場36校が26日に決まり、日本列島に春の知らせが駆けめぐった。近畿地区から選ばれた乙訓(おとくに)(京都)は春夏通じて初めての甲子園で、地元を挙げて「公立旋風を巻き起こす」と意気込んだ。21世紀枠でも膳所(ぜぜ)(滋賀)、由利工(秋田)などの公立校が選ばれ、選手たちは喜びをかみしめた。記念大会となる今回は、谷村新司さん作曲の大会歌「今ありて」を入場行進曲にして3月23日に幕を開ける。

乙訓 学科新設、時を呼ぶ

 創部から54年、地元で「乙高(おつこう)」と親しまれる京都府立乙訓が、長年の悲願を全員野球でつかみ取った。

 「努力の結果が出た。自信を持って臨んでほしい」。連絡を受けた越智雅之校長(56)が出場決定を知らせると、待ち構えていたナインはその後ガッツポーズを見せて喜んだ。

 乙訓は、学校がある京都府南西部の長岡京市など2市1町の人口約15万人で構成する地区の名称。乙高野球部は1964年の創立とともに発足したが、最高成績は秋季大会で府ベスト4、夏は府準優勝で甲子園は遠かった。

 理由の一つが、春夏通算73回の出場を誇る龍谷大平安など、府内の強豪私立だ。昨年まで過去20年の実績では計36回出場している私立に対し、府立は計6回にとどまっている。

 流れを変えたのが、2010年に設置された府内唯一の体育系専門学科「スポーツ健康科学科」だ。天然芝グラウンドや全天候型走路など強豪私立に負けない練習設備を整え、地元だけでなく府内全域から生徒を集められるようになった。

 15年に就任した市川靖久監督(35)は「学科のカリキュラムで効率的なトレーニング方法や栄養学を学ぶことで、選手の意識が高くなった。遠方から入学した有力選手と地元の選手が一緒に練習することで全体のレベルも上がった」と分析。私立からの勧誘を断って乙訓を選んだ左腕エースの富山太樹投手(2年)は「室内練習場で雨でも練習できるし、グラウンドのおかげで公式戦でも舞い上がらずに済む」と話す。

 その実力が昨秋、花開いた。府大会で立命館宇治、京都翔英といった甲子園出場経験のある私立高を撃破。初出場した近畿大会でも神港学園(兵庫)や智弁学園(奈良)を大差で破り、公立校唯一の4強入りを果たした。準決勝では智弁和歌山(和歌山)にサヨナラ負けを喫したが、中川健太郎主将(2年)は「強豪と互角に戦え、自信を得た」と話す。

 創部メンバーの一人、小野忠雄さん(69)=愛媛県伊予市=は「当時、甲子園は『神の領域』だった。そんな場所で乙訓のユニホームが躍動するかと思うと感無量」と目を細める。長岡京市の職員は「読み方が分からないと言われる『乙訓』の名を野球部が全国に広めてほしい」と期待している。【礒野健一、畠山哲郎】

由利工 あいさつ、春を呼ぶ

センバツ出場が決まり雪の上をスライディングして喜ぶ由利工の選手たち=秋田県由利本荘市で2018年1月26日、宮武祐希撮影
センバツ出場が決まり雪の上をスライディングして喜ぶ由利工の選手たち=秋田県由利本荘市で2018年1月26日、宮武祐希撮影

 「甲子園に行くぞー!」「オーッ!」。少子化と普通科志向の影響で定員割れし統廃合が検討される中、春夏通じて初の甲子園出場の知らせが届いた由利工は、全校が喜びに包まれた。

 かつて地元の秋田県由利本荘市では、自転車通学のマナーの悪さなどが指摘されがちだった。転機は2011年。同年着任した須田和仁部長(48)が学校を立て直そうと、毎朝校門で「おはよう」と声を掛ける活動を始め遅刻も減っていった。野球部員も活動に加わるようになり、13年秋~15年秋には部員が生徒会長を務め、あいさつ励行の集会を開くなど学校生活の改善をけん引。多くの生徒が礼儀正しくあいさつするようになった。

 地域住民とも積極的に交流した。工業高の技術を生かして木製のおもちゃを近隣の保育園に贈ったり、高齢者施設で使う車椅子を修理したりしている。軌を一にするように野球部の成績も上がり、昨秋は初めて出場した東北大会の2回戦で九回2死から逆転勝ちし8強入りした。【川口峻】

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