選抜高校野球
九州勢 地元への感謝胸に
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3月23日に開幕する第90回記念選抜高校野球大会に出場する36校が26日、決まった。九州・山口からは、宮崎から昨秋の九州大会で準優勝した富島と4強入りの延岡学園の2校をはじめ、九州大会を制した長崎の創成館、4強入りした福岡の東筑、中国大会準優勝の下関国際(山口)が選ばれた。21世紀枠では佐賀の伊万里が初のセンバツ切符を手にし、計6校に「春」の知らせが届いた。
宮崎・富島 創部70年初の舞台へ
「センバツ出場が決まった。富島らしい諦めない野球をしてきてほしい」。馬場隆校長がグラウンドで待ち構える選手約30人に報告すると、選手たちは歓喜に沸いた。地域との交流も大切にしてきた野球部。選手たちは地元への感謝を胸に、創部70年で初めての甲子園の舞台に立つ。
選手たちの地域交流は、地元の支えがあるからこそ野球ができるとの浜田登監督(50)の考えから生まれた。
昨年12月には、1、2年生の部員34人が地元の宮崎県日向市内にある保育所や老人ホームを訪れて、子供や高齢者らと触れ合った。中川大輝主将(2年)は自身が通った市立上町保育所を訪問先に選び、4、5歳の園児たちと音楽に合わせて手遊びするなどして過ごした。
中川主将は卒園時の文集で「おおきくなったら」の質問に<やきゅうせんしゅ>と大きな文字で書いた。当時担任だった川端るみ子さん(56)は文集を手に「センバツ出場で夢に向かって一歩前進した。日向の誇り。地道に努力する頑張り屋の大ちゃん(中川主将)をいつまでも応援したい」と吉報に顔をほころばせた。
早朝練習の時は近所に迷惑をかけないようにと、声を出さずにボールを追いかけた選手たち。初の甲子園への切符をつかんだ選手たちを浜田監督は誇らしげに見つめた。中川主将は「自分が育った地域に甲子園で勝利することで恩返ししたい」と、喜びと決意に満ちた表情で語った。【田崎春菜】
宮崎・延岡学園 引退の「母」に吉報
12年ぶり3回目のセンバツ出場が決まった延岡学園。選手たちが親元を離れて生活する寮で寮母を務める藤崎仁美さん(66)は、決定の知らせを寮監室にかかってきた電話で知った。「最後にうれしいプレゼントをもらった」。足を悪くして31日に引退する前の吉報に目を赤くした。
学校敷地内には寮が2棟ある。野球部員は向かいの寮で監督やコーチと暮らし、朝と夕方の食事や入浴で藤崎さんがいる寮に来る。寮玄関の窓口から声をかけたり、親から届く小包を渡したりして部員を見守ってきた。
支えてきた歴代の部員の中で、椿原塁主将(2年)率いる現チームを「とにかく仲が良い」と言う。「この子たちはいつも表情が明るい。それが試合でのチーム力につながったのでは」と語る。
甲子園を夢見て、1年生の時から工藤魁人選手(2年)や萱野心希(しんき)選手(同)ら多くの部員が、寝る間も惜しんで自主練習する姿も見てきた。「あの子たちなら大丈夫。甲子園でも平常心で戦える」とエールを送る。
椿原主将は「寮母さんにはこれまで試合に勝った時も負けた時も支えてもらった。甲子園で勝つことで恩返ししたい」と語り、センバツで初の初戦突破を誓った。【塩月由香】
長崎・創成館 共同生活、心つなげる
昨秋の九州大会で優勝、明治神宮大会でも準優勝した創成館の稙田(わさだ)龍生監督(53)は、センバツ出場に沸く全校生徒を前に「長崎代表として、一戦でも多く甲子園で戦いたい」と、九州王者としての意気込みを語った。
県外出身者が多く、部員77人のうち約9割が学校に併設された野球部専用寮で暮らす。稙田監督は社会人野球の九州三菱自動車(福岡市)で内野手として活躍し、監督も務めた後、10年前から創成館で指揮を執る。部員とともに寮で生活し、昨年には心理カウンセラーの資格も取るなど、部員とのコミュニケーションに心を砕き信頼関係を築いてきた。
過去2回のセンバツはいずれも初戦敗退だった。1勝した2015年夏に続く甲子園で「まずは1勝を全力でつかんでいきたい」と稙田監督は誓う。峯圭汰主将(2年)は「憧れの舞台で、お世話になった人に恩返ししたい」。エース川原陸投手(同)も「強豪校との対戦が楽しみ」と喜んだ。【今野悠貴】
佐賀・伊万里 密度詰めた練習スタイル
21世紀枠で伊万里の春夏通じて初の甲子園出場が決まった。佐賀県勢のセンバツ切符は2007年の小城以来。全国最長となっていた11年の春のブランクを打ち破り、選手たちは喜びを爆発させた。
地元の同県伊万里市の進学校で、朝には別枠の授業があるため朝練習はできない。放課後も最終下校時刻を厳守し、平日の練習時間は1・5~2時間に限られる。そのため練習ではタイマーを使ってメニューを10分単位で区切るなど、質を追い求めてきた。ノックは失敗してもやり直しをせず、一球一球への執着心を養ってきた。
吉原彰宏監督(42)は「密度を詰める練習スタイルが出場につながったと思う」と喜びに浸った。
選手たちは、地元の少年野球大会で審判をしたり、伊万里ハーフマラソンでボランティアをしたりして、地域交流も深めてきた。
県勢では、1994年の佐賀商と「がばい旋風」と言われた07年の佐賀北のいずれも公立校が夏の甲子園で頂点に立った。伊万里も公立で、昨秋の県予選ではこの2校に勝って九州大会に進んだ。犬塚晃海(てるみ)主将(2年)は「地元の期待を感じているので、県立高として一つでも多く勝ちたい」と意気込んだ。【池田美欧】
山口・下関国際 定食屋が体作りサポート
下関国際は、悲願の甲子園初出場を果たした昨夏に続いて初のセンバツで夢の舞台に再び立つ。坂原秀尚監督(41)は「選んでくれた人たちのためにも勝たなければいけない」と気を引き締める。
昨秋の中国大会で、あと一歩で優勝を逃した選手たちはこの冬、2000本の素振りや打ち込みを毎日続けた。選手たちの体作りをサポートしてくれるのが学校近くの定食屋「新下関食堂」だ。寮で暮らす選手たちが毎晩、腹を満たして明日に備えてきた。
食堂のメニューは栄養があり、ボリュームもある。森脇秀一店長(43)は「選手が体重増に成功すると、やりがいを感じる。センバツでは思いっきり楽しんでほしい」とエールを送る。坂原監督は「ここ(食堂)が無ければ甲子園出場はなかった」と感謝する。
地域に支えられて成長したチームとして、浜松晴天(そら)主将(2年)は「まずは1勝して、自分たちの野球を全国に見せたい」と活躍を誓った。【佐藤緑平】
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