特集

第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

特集一覧

燃えろ聖陵

初めての春/1 規律徹底、精神力鍛える 勝つチーム作りへ挑戦 /愛媛

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
2017年秋の愛媛県大会を制覇し、優勝旗を受け取る松山聖陵の真栄城隆広主将=松山市市坪西町の坊っちゃんスタジアムで、中川祐一撮影 拡大
2017年秋の愛媛県大会を制覇し、優勝旗を受け取る松山聖陵の真栄城隆広主将=松山市市坪西町の坊っちゃんスタジアムで、中川祐一撮影

 昨年9月、松山市の坊っちゃんスタジアム。県大会中予地区代表決定戦は八回表を終え、先攻の聖カタリナ学園が松山聖陵を4-1でリードしていた。「ここで取り返してやるのがチームだ」。失策で追加点を奪われた選手たちに、聖陵の荷川取秀明監督(36)はそう告げた。

 「この試合で逆転できなければ甲子園でも勝てない」

 円陣を組んでそう声を掛け合った選手たちは、八回裏に脅威の粘り強さを見せる。先頭の土居豪人投手(2年)が四球を選ぶと、真栄城隆広主将(同)らが5本の長短打を重ね、一挙6得点。逆転勝ちで県大会に駒を進め、センバツへ向けた一歩を踏み出した。

   ◇  ◇

 2016年の夏に初めて甲子園の土を踏んだ松山聖陵ナイン。現在の2年生は当時、新入部員としてスタンドで声をからし、大舞台で躍動する先輩たちを懸命に鼓舞した。初戦で敗れたが「聖地」への憧れは募った。星本大輝選手(同)は「羨ましかった」、平良倭麻選手(同)は「あの場所に立ちたいと思った」と振り返る。

 新チームは「甲子園で勝つチーム作りへの挑戦」を掲げた。甲子園に単に「出る」だけではなく「勝つ」ことを目標に、強いチームを目指した。

 県大会でも粘り強く、競り勝つ野球を見せた。新田との初戦。3-1とリードして迎えた九回裏。先発した土居投手の球数が100球を超え、制球が乱れ始める。2者連続の四球で1死一、二塁とされた後に適時二塁打を許し、1点差まで迫られた。

 1死二、三塁。新田の「押せ押せムード」の中、続く打者の飛球は前進守備を敷いていた内野手と外野手の間に。全力で走った平良選手がそれを好プレーで捕球。「これで行けると思った」と平良選手。土居投手が最後の打者を空振り三振に仕留め、迫る新田を振り切った。

 これで勢いに乗った聖陵は、その後の3試合全てで先制されたものの、粘り強さで逆転し、競り勝つ野球で初優勝を手にした。

 こうした野球スタイルについて、荷川取監督は「普段の生活から我慢して取り組んだ成果」と強調する。「私生活の乱れはグラウンドで出る」。そう説き、学校でも寮でも選手たちに規律を徹底して求めた。「寮のルール」を破った選手を先発メンバーから外したこともある。我慢強さを身につけた選手たちは、試合で劣勢になっても慌てない強い精神力を持つようになった。

 愛媛王者として臨んだ四国大会。準決勝で明徳義塾(高知)に敗れたものの、持ち味を発揮して4強入りした。選手たちは「甲子園での初勝利」を目指し、白球を追い続ける。

   ◇  ◇

 初めての「春」をつかんだ松山聖陵。グラウンドには「燃えろ聖陵全国制覇」の文字が掲げられている。大舞台に闘志を持って臨むチームの軌跡をたどった。【中川祐一】=つづく

関連記事

あわせて読みたい