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#初めての春

伊万里センバツへの軌跡 第1部/上 日々の練習 文武両道、密度濃く /佐賀

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タイマーで時間管理し、バッティングのインパクトの伝え方を鍛える選手たち 拡大
タイマーで時間管理し、バッティングのインパクトの伝え方を鍛える選手たち

 3月23日に開幕する第90回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)の21世紀枠として、伊万里が春夏通じて初の甲子園に挑む。練習環境に制約がある中、工夫を重ねて地道に力を付けてきたチームの軌跡を追った。【池田美欧】

 「ピピピピッ、ピピピピッ」

 一塁側のベンチに置かれたデジタル表示のタイマーが発する機械音がグラウンドに響き渡る。すぐさま選手は「次行くぞー」と声をかけ合って、次の練習メニューに移る。マネジャーが再度時間を設定すると、タイマーはまた動き出した。

 伊万里は、分刻みで時間を徹底的に管理している。練習時間が平日は1・5~2時間に限られるため、質の高い練習をするには時間管理が不可欠だからだ。

 伊万里市の進学校のため、朝は午前7時55分から、通常とは別枠の「特課授業」があって朝練ができない。週に3回は午後4時半終了の7限まで授業がある。夜7時15分の最終下校時刻を必ず守る方針のため、6時半には練習を切り上げ、グラウンド整備や片付けに移らないといけない。加えて、土日は塾に通う選手を考慮して基本的に午前の3時間半のみ。文武両道を体現している。

 タイマーを使った時間管理は2014年に就任した吉原彰宏監督(42)が編み出した。「だらだらと練習が続くのを防ぎ、効率的に練習ができる」と前向きに捉えている。

 練習の密度は濃い。メニューは基本的に10分単位としている。冬の場合は、内外野のノックに10分、走者を置いて状況を付与した実戦形式のノックに10分。さらに打撃練習を30分こなす。筋力強化を図る10種類ほどのトレーニングを40分続ける。ノックでは失敗をしても「もう一丁」はない。犬塚晃海主将(2年)は「一球も無駄にできないので自然と自分の課題を意識して練習するようになった」と成果を実感する。

 工夫は、自然の産物を生かしたユニークな筋トレ方法にも反映されている。選手の股下ぐらいの長さで、頭の大きさほどの太さがある丸太を持ってジャンプして下半身を鍛える。保護者が家から木を切り出して、皮を剥いで練習に使いやすいようにして持って来てくれる。山口修司投手(同)は「丸太を抱えて走ると、腕を使えないので足に負荷がかかる。腕や背筋にも筋力がついた」と話す。

 グラウンドの周りに生えている竹も活用する。選手の背丈を超える長さに切り出して素振りをし、体全体でスイングする意識を持たせる。

 基礎的な練習で力を蓄えたチームは昨秋に快進撃を続け、135季(67年)ぶり2回目の九州大会出場を果たした。吉原監督は「これからは九州大会で明らかになった課題を見つめつつ、今のチームでの戦い方を考えていく」と、強豪ひしめく甲子園を見据える。


 センバツに出場する伊万里を追う「#初めての春」を大会まで随時連載いたします。「#(ハッシュタグ)」を付けており、昨年11月末に開設した毎日新聞佐賀支局のツイッター公式アカウント(@mainichi_saga)と連動して、日々の様子を紹介します。

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