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社説

政府の新たな財政試算 無責任な現実離れの想定

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 現実離れした景気見通しを基に財政健全化のつじつまを合わせようとするのなら極めて無責任だ。

     政府は、健全化の指標とする基礎的財政収支の新たな試算をまとめた。単年度の政策を巡る収支であり、今は18兆円の赤字と借金頼みだ。

     試算では、黒字化は従来より2年遅れの2027年度になる。安倍晋三首相が消費増税の使途を借金返済から教育無償化に変えたためだ。

     首相は、歳出抑制などで黒字化を20年度には達成するとしていた政府目標も先送りした。試算を踏まえ新たな目標を夏までに示すという。

     先送り自体が無責任だが、新たな目標の土台となる試算も問題がある。試算の前提にした経済成長見通しがあまりに楽観的なことだ。

     従来の試算もアベノミクス効果で名目成長率が3%台後半に高まると想定した。高く見積もるほど税収が多く見込める。だが昨年度は1%にとどまり、税収も伸び悩んだ。

     政府は今回「現実的な水準にする」と成長率を引き下げはしたが、それでも3%台と高い。日本は人口減少などで高成長を見込みにくい。とても現実的とは言えない。

     しかも税収増を当てにしたままだと財政規律が一段と緩む。高齢化で社会保障費が膨張しているが、首相はこれまで痛みを伴う歳出抑制にほとんど手をつけてこなかった。

     こうした甘い試算に基づいて、首相が新たな黒字化目標を示し、健全化を図る姿勢をアピールしたとしても、説得力を欠く。

     従来試算をベースにした20年度黒字化の目標も、首相が消費増税の使途を変える前から、達成が絶望的になっていた。今回も目標先送りを繰り返すだけにならないか。

     今回の試算は別の想定も示した。名目成長率は1%台後半で推移し、基礎的財政収支は27年度も8兆円の赤字が残るというものだ。

     政府がこの想定を新たな目標に用いる予定はないが、成長率は実態に近い。黒字化を実現するには、本格的な歳出抑制が欠かせないことも明確に示している。

     首相は先週の施政方針演説で少子高齢化を改めて「国難」と強調した。ならば高齢化時代を乗り切れる財政の構築が急務である。現実から目を背けずに取り組むべきだ。

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