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内田麻理香・評 『科学の不定性と社会--現代の科学リテラシー』=本堂毅、平田光司、尾内隆之、中島貴子・他編著

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 (信山社・2117円)

限界踏まえ市民が関わる

 科学リテラシーが必須とはよく耳にするが、その科学リテラシーとはいかなるものか。二〇〇一年とかなり前になるが、科学技術に関する意識調査があった。その「地球の中心部は非常に高温である」などの設問に対し、日本の成人の正答率が、欧米と比較して低いことから一部で話題になった。しかし、科学リテラシーとはこのような科学的知識の多寡を問うべきものなのか。本書は、「科学の性質や限界、すなわち科学に関する知識を社会との関わりの中で理解すること」が現代の科学リテラシーであるとみなす。そのために、自然科学、医学、法学、政治学、人類学、教育学など様々な分野の著者が科学の不定性について一冊かけて解説していく。

 私たちの生活が科学やその応用である技術に依存していることは言うまでもない。それは、科学的知識、科学の法則の強みを駆使してきた結果だ。しかし、その科学の得意分野は意外にも狭い。いつ月蝕(げっしょく)が起きる、などの予測はできても(それでも予測でしかない)、先端巨大技術や地震などの分野では、予測に必要な条件が膨大になるため、専門家間でも一致した見解にたどり着かない場合が多い。さらに、科学以外の分野に…

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