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池澤夏樹・評 『絶滅の人類史』=更科功・著

 (NHK出版新書・886円)

物語化への誘惑に抗する

 科学は厳正であり、その真理は不変である。真空中の光速は毎秒二九九、七九二、四五八メートルである、と言えばこれはもう(観測精度の向上以外の理由では)変わらない。科学はこういう硬質のブロックを積んで構築される。

 しかし、科学に時の推移という概念が入ってくると、永遠や無限が溶解して、すべてが物語になる。光速は不変なのに、宇宙は一三七億年前に生まれたというライフ・ストーリーが生じる(この数字を確定するのも光速なのだが)。Aという事実が目の前にあるとしても、その由来はAの過去に隠れていて今は見えない。

 我々、ヒトないしホモ・サピエンスが今の地球の上にかくも繁栄しているのはなぜか? 自分たちに都合のいい説明、夜郎自大の解釈を超えて、本当のところはどうなのか知りたい。本当にヒトは優れた種なのか? 優れたとはどういうことか?

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