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第94回センバツ高校野球

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勝負心・春

2018センバツ中央学院 第1部・軌跡/上 指針作り課題克服 昨夏の初戦大敗、胸に刻み /千葉

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昨秋の県大会準決勝・習志野戦で、四回裏に大谷が右越え2点本塁打を放ち、喜ぶ中央学院ナイン=千葉市稲毛区の県野球場で 拡大
昨秋の県大会準決勝・習志野戦で、四回裏に大谷が右越え2点本塁打を放ち、喜ぶ中央学院ナイン=千葉市稲毛区の県野球場で

 <第90回記念選抜高校野球>

 「お前のせいじゃない」。昨年7月14日午後、柏の葉公園野球場(柏市)のベンチ裏。主将の武田登生(3年)に慰められると、池田翔(2年)=現主将=の目から涙があふれた。この日あった夏の千葉大会初戦でチームは古豪・銚子商に大敗。池田は責任の一端は自分にあると感じていた。

 九回裏。安打数はほぼ互角ながら走塁ミスなど拙攻が響き、1-7と大量リードを奪われていた。この回先頭、代打で打席に立った池田は中前打を放ち、続く1番吉沢優輝(3年)も安打で出塁。無死一、二塁の好機が訪れたが、2番打者の左飛で二塁走者の池田は飛び出し、帰塁できず併殺に。打球判断ミス。「頭が真っ白になった」。チームの夏はあっけなく幕を下ろした。

 中央学院は2002年に準優勝したほか近年では12、14年に8強、15年には4強入りした。「夏の中央学院」。そんな評価をする野球関係者も多い中での初戦敗退。相馬幸樹(38)が監督に就任して初めての夏の大会となった08年以来の屈辱だった。前年には17年ぶりに秋の関東大会に出場し、1回戦では甲子園出場経験もある市川(山梨2位)に完封勝ちしたチームだけに、悔しさはさらに増した。

   ◇   ◇

 4日後にあった恒例の部室やグラウンドの大掃除。気持ちを切り替えられず言葉少なに作業をする1、2年生に相馬は命じた。「新チームの指針を作れ」。今までにない指示。全員が戸惑ったがそれ以降練習後に話し合いを繰り返すようになった。「打者に合わせたポジショニングができていない」「他の強豪校より体が小さい」。さまざまな意見が出た。左翼手の田中大暉(2年)は「小中学校時代にはなかったこと。ワクワクした」と振り返る。

 練習は早朝から行った。寮生は午前6時ごろ、自宅通学の部員も始発電車で出発。さらに早い時間から自主練習に励む部員たちもいた。また連日午前と午後に他校との練習試合も重ねた。対戦で見えた課題は試合後約30分間集中して克服を図り、特に走塁はより実戦的に取り組んだ。練習試合は約1カ月で42試合。成果は目に見えて表れた。8月19日に始まった秋季県大会の地区予選。3試合中2試合でコールド勝ちを収め、県大会進出を決めた。

   ◇   ◇

 そのころ指針「甲子園プロジェクト」が完成。守備ごとの目標やそのための練習内容を明記したA4用紙7枚の年間計画だ。遠投や短距離走なども数値を挙げて目標が設定されており「皆で課題を具体的に話し合えるようになった」(田中)。

 迎えた県大会。着実に勝ち上がり、秋の関東大会出場をかけた9月30日の準決勝では、夏準優勝の習志野と対戦した。四回に4番大谷拓海(2年)の2点本塁打で先制すると波に乗り5-2で勝利、エースでもある大谷は最後の打者を捕ゴロにしとめると、右拳を突き上げて笑顔を見せた。

 相馬から「お前らは初戦負けのチーム。強いところを見せろ」と発破をかけられてきた選手たち。中堅手の宇田周平(2年)が振り返る。「走塁が上手な習志野に自分たちの力が通用し、自信になった」。ただ、相馬の監督就任以降、中央学院は春夏秋どの大会でも優勝した経験はなかった。「今年こそ優勝だ」。チームは意気込んでいた。(敬称略)

     ◇

 第90回記念選抜高校野球大会出場を決めた中央学院。「勝負心」をスローガンに、創部47年目にして春夏通じて初めて甲子園への切符をつかんだチームの軌跡を追った。(富美月が担当します)

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