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余録

昔、闘鶏を育てる名人が王に頼まれて鶏を預かった…

 昔、闘鶏を育てる名人が王に頼まれて鶏を預かった。敵の声や姿に興奮したりするうちは使いものにならない。どんな敵にも無心になり、やっと最強の闘鶏が完成した。まるで木でできた鶏。中国の故事に由来する「木鶏(もっけい)」である▲今から79年前の大相撲1月場所で、横綱・双葉山は連勝が69で止まった。友人が心中を気遣って「サクモヨシチルモマタヨシサクラバナ」と電報を打つ。双葉山はこう返電した。「イマダ モッケイタリエズ フタバ」▲双葉山の著書「相撲求道録」には相撲道を究めようとする厳しい姿勢が表れている。片や今の角界は、昨年の元横綱・日馬富士による暴行事件が裁判でひとまず決着したものの、波風が収まらない▲理事から降格された貴乃花親方と日本相撲協会との確執が続く。2月に予定される協会の理事候補選挙を巡り、勢力争いに注目が集まる。そんな協会の現状は「木鶏」の精神からほど遠い▲不祥事が相次いでもチケットは売り切れるが、いつどうなるか分からない。作家の吉川英治が人気絶頂の双葉山を交え食事をした時のことを書いている。あちこちから声がかかり、ちやほやされる。「低い所から落とせば欠けない物を勝手に高所までさし上げて行って落とすのが人気の特質である」。人気とは恐ろしい▲今場所、一人横綱となった鶴竜はどんな思いで千秋楽を迎えただろう。吉川が孤高の双葉山にしたためた一句がある。<江戸中で一人さみしき勝角力(かちずもう)>。角界を支える綱のなんと重いことか。

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